研究課題
若手研究
バクテリアべん毛輸送ゲート複合体は FlhA, FlhB, FliP, FliQ, FliRの5種類の膜タンパク質で構成され、細胞膜を横切るプロトン駆動力を動力源にべん毛構成タンパク質を輸送するが、どのように輸送ゲート複合体はべん毛構成タンパク質を選別し細胞外へ送り出すのかは不明であった。本研究では、輸送ゲート複合体が作られるしくみおよび輸送ゲート複合体の開閉のしくみと選択的物質輸送のしくみを突き止めることに成功した。
生物物理学、生化学
腸管出血性病原性大腸菌O157などの病原細菌による感染症は社会問題の一つで、それらの感染機構の解明ならびに克服のための方法の探索が続けられている。べん毛タンパク質輸送装置と高い相同性を示すIII型分泌装置が急性胃腸炎の発症に深く関わっている。本研究成果に基づいて病原性細菌のIII型分泌装置のゲート開閉機構を特異的に不活性化できれば、病原性細菌の病原性のみを破壊できる。したがって、従来の抗生物質のように細菌を死滅させることがないため耐性菌が発生しづらく、感染症の予防を含めた、これまでにない新しい治療法の開発につながると期待できる。