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2018 年度 実施状況報告書

クライオ電子顕微鏡を用いた転写伸長超複合体の構造解析

研究課題

研究課題/領域番号 18K14643
研究機関国立研究開発法人理化学研究所

研究代表者

江原 晴彦  国立研究開発法人理化学研究所, 生命機能科学研究センター, 研究員 (80634766)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2020-03-31
キーワード構造生物学 / 転写 / Cryo-EM
研究実績の概要

mRNAの転写を司るRNAポリメラーゼII(PolII)は,真核生物による遺伝子発現において中核的な役割を果たすタンパク質複合体である.PolIIによる転写伸長は,転写伸長因子をはじめとする様々なタンパク質群によって高度に制御されていることが知られており,その過程を分子レベルで理解してゆくことは,遺伝子発現やその制御に関わる謎を解明するために,非常に重要である.本年度は,Spt4/5, Spt6, Elf1, Paf1C等の転写伸長因子について,発現系の作成と,精製条件の検討を行い,それらの多くについて,大量かつ高純度のタンパク質試料の調製に成功した.また,複合体の構造解析に向けた準備として,それらの転写伸長因子と,転写伸長因子を模擬した核酸,及びPolIIとの間で,結合条件の検討などを行った.さらに,転写因子の中には,リン酸化によって制御を受けるものがあるため,キナーゼの調製,およびキナーゼによるリン酸化条件の検討なども行った.これらに加えて,精製したタンパク質を用いたin vitroでの転写伸長実験を様々な条件下で行ったところ,Elf1という転写伸長因子が,その他の転写因子と協働することで,ヌクレオソームDNAの転写を強く促進する,ということを新しく発見することができた.それらの転写因子群が結合したPolIIが,ヌクレオソームを転写している途中の複合体を調製し,Cryo-EM単粒子解析を行うことで,それらの因子がヌクレオソームDNAの転写を促進する分子メカニズムを明らかにすることができた.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

様々な転写伸長因子のサンプル調製や,それらとPolIIとの複合体形成実験については,概ね予定通りに進んでいる.その過程において,Elf1とヌクレオソームとの関わりについて予期せぬ発見があり,構造解析も併せて大きな成果とすることができた.

今後の研究の推進方策

さらに多くの種類の転写伸長因子について,サンプル調製を行い,PolII等との安定な複合体形成を試みる.有望なもの,興味深いものから,クライオ電顕を用いた構造解析を行う.

次年度使用額が生じた理由

予想以上に研究が進捗し,論文執筆等を優先したため,次年度使用額が生じた.本年度は,研究成果発表のための旅費を多く見込む他,実験に必要な備品や消耗品を購入する予定である.

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2019 2018

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] Structural insight into nucleosome transcription by RNA polymerase II with elongation factors2019

    • 著者名/発表者名
      Ehara Haruhiko、Kujirai Tomoya、Fujino Yuka、Shirouzu Mikako、Kurumizaka Hitoshi、Sekine Shun-ichi
    • 雑誌名

      Science

      巻: 363 ページ: 744~747

    • DOI

      10.1126/science.aav8912

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Structural basis of the nucleosome transition during RNA polymerase II passage2018

    • 著者名/発表者名
      Kujirai Tomoya、Ehara Haruhiko、Fujino Yuka、Shirouzu Mikako、Sekine Shun-ichi、Kurumizaka Hitoshi
    • 雑誌名

      Science

      巻: 362 ページ: 595~598

    • DOI

      10.1126/science.aau9904

    • 査読あり
  • [学会発表] Cryo-EM analysis of RNA polymerase II transcribing a nucleosomal DNA2018

    • 著者名/発表者名
      Ehara Haruhiko、Kujirai Tomoya、Fujino Yuka、Shirouzu Mikako、Kurumizaka Hitoshi、Sekine Shun-ichi
    • 学会等名
      2018 Kuo Symposium on 3D-EM of Macromolecules and Cells
    • 国際学会
  • [学会発表] 転写伸長因子Elf1とSpt4/5のクロマチン上での転写伸長における役割2018

    • 著者名/発表者名
      Ehara Haruhiko、Kujirai Tomoya、Fujino Yuka、Shirouzu Mikako、Kurumizaka Hitoshi、Sekine Shun-ichi
    • 学会等名
      第41回日本分子生物学会年会

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公開日: 2019-12-27  

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