クライオ電子顕微鏡とX線結晶構造解析を用いて、翻訳開始因子eIF2Bとリン酸化・非リン酸化状態のeIF2との複合体の構造を解明した。eIF2のeIF2Bへの結合様式はリン酸化の有無によって全く異なるものとなっており、ストレス環境でリン酸化されたeIF2はeIF2Bに対して触媒反応に適さない様式で結合することによりeIF2Bの活性を阻害していることが明らかにされた。また、リン酸化eIF2の結合はeIF2Bのサブユニット配置の変化を伴っており、ストレス時のeIF2B活性阻害を緩和する低分子化合物ISRIBはこの配置変化を防ぐことで機能しているという新たな作用機序が提唱された。
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