我々はリン脂質ホスファチジルセリンが合成できない出芽酵母の変異株において、細胞膜上に膜タンパク質が存在しない新奇な膜ドメインが発生すること、さらにこの細胞膜上の異常な膜ドメインに、酵母のリソソーム様オルガネラである液胞が接触することを見出した。本研究ではこの接触が積極的な膜ドメインの解消に寄与している可能性を検討したが、当初の仮説に反し、むしろ液胞と膜ドメインの接触は長時間安定的に持続する事が明らかとなった。本研究ではこの接触の生理的意義の全容解明には至らなかったものの、何らかの異常な膜に対しての新規の細胞応答である可能性が示唆され、膜ドメイン自体の幾つかの基本的性質を明らかにする事ができた。
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