本研究では「Ngly1による糖鎖脱離・分解の造血発生制御における役割の解明」を研究目的とし、様々な解析に取り組んだ。その結果、マウスの発生過程でNgly1欠損は二次造血器官である胎仔肝臓において、転写因子Nrf1の異常なプロセシングと肝細胞細胞質への蓄積、肝前駆細胞マーカーであるAFPの染色強度増強を引き起こすことがわかった。さらに、赤血球の成熟化にともなう赤芽球の脱核がNgly1-KOで減少することがわった。つまり、Ngly1は胎仔肝臓の正常な発生に必要でそれにはNrf1が少なくとも部分的に寄与すること、Ngly1欠損により肝臓の発生に異常が生じることで、造血発生に異常を来すことがわかった。
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