研究課題
本研究では、光駆動アニオンポンプおよび光開閉アニオンチャネル機能をもつ、微生物の光受容体タンパク質・ロドプシン をモデルとし、「ポンプ」と「チャネル」という全く異なる輸送方式を決定する要因の解明に取り組んだ。ロドプシンは、7回膜貫通型構造をもち、補因子であるレチナールの光異性化をきっかけに活性化される、共通の性質をもつ。そうであるにもかかわらず、能動輸送(=ポンプ)と受動輸送(=チャネル)という、全く異なる輸送方式でイオンを輸送する。それぞれの輸送機構は、これまでによく理解されてきたが、輸送方式を決定する要因はわかっていない。令和元年度は、アニオンチャネル活性の測定を簡易的に行うことができる実験系を構築した。代表的なアニオンチャネルロドプシン・GtACR1を用いて、測定系の検討を行い、試料条件および測定条件の最適化を行い、すでに報告済みの結果と一致する良好なデータを得ることに成功した。通常、アニオンチャネル活性は、時間分解能や定量性の優れた電気生理学的手法によって測定されてきた。本研究で我々は、これらの点は劣っているものの、複雑な装置や操作、静音な実験環境を必要としない、簡便な測定法を開発することができた。本測定系を用いて、さまざまなアニオンチャネルロドプシンについて、網羅的なアニオンチャネル活性測定を行った。特に、電気生理学的測定に必要な、哺乳類細胞での発現が認められていないものに着目した。その中で、GtACR1よりもアニオンチャネル活性が数倍大きい新規アニオンチャネルロドプシンを発見することができた。また、南極海にすむ藻類からは、チャネル活性に伴う光反応のキネティクスが極めて遅いアニオンチャネルロドプシンを発見することができた。現在、活性と生理的意義の関係について調査を進めている。
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Scientific Reports
巻: 9 ページ: 7863
https://doi.org/10.1038/s41598-019-44308-x
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