研究実績の概要 |
本研究の目的は、オータプス初代培養標本における単一神経・グリア回路網の時空間的な活動パターンを包括的に可視化・解析する新規イメージング手法の構築である。これまでに多点走査型2光子顕微鏡に局所光刺激用の2光子励起光学系などを導入することで、光刺激点を中心とした細胞活動変化パターンを時空間的に高速・高解像度でライブイメージングできるシステムを構築した。また観察視野下に収まるように任意の範囲にオータプス初代培養標本を培養して遺伝子導入する系の確立を行うことで、オータプス初代培養標本における自発的な神経細胞内カルシウム濃度変動の伝搬様式を多点走査型2光子顕微鏡によりライブイメージングすることに成功している。本年度は神経細胞とアストロサイトの細胞活動を別チャンネルで同時にライブイメージングするための蛍光プローブの選定および顕微鏡条件の最適化をほぼ完了させることができた。今後は神経細胞・アストロサイト回路網の光刺激に対する応答特性を明らかにしていくと共に、本研究で構築した手法の有用性を評価する。一方、超解像2光子STED顕微鏡(Ishii et al., Biomed. Opt. Express 2019)の応用については、昨年度導入した検出器などを利用することで、神経樹状突起スパインの微細形態を100-nm以下の空間分解能で可視化することに成功した。今後、本法を併用することで、オータプス初代培養標本における活動伝搬様式をナノスケールから細胞スケールで階層的に可視化解析することを目指す。
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