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2019 年度 実績報告書

外的刺激に対する細胞内“水”の定量評価

研究課題

研究課題/領域番号 18K14669
研究機関国立研究開発法人理化学研究所

研究代表者

白神 慧一郎  国立研究開発法人理化学研究所, 生命医科学研究センター, 客員研究員 (80795021)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2020-03-31
キーワード全反射減衰テラヘルツ時間領域分光 / 水 / 水和 / 細胞 / 複素誘電率
研究実績の概要

約38億年前に海の中で生命が誕生して以降,水への適応力を身につけながら生命が進化を遂げてきたことは紛れもない事実であり,1937年にノーベル医学生理学賞を受賞したセント・ジェルジ博士がmatrix of lifeと表現した水が生命活動の中核をなすことは想像に難くない.しかし今日の分子生物・細胞生物学ではタンパク質やゲノムを軸に細胞内で繰り広げられる生命現象を事細かに描き出すことに成功している一方で,細胞内の大半を占める水分子に関する理解は驚くほどに少ない.これは,生命活動に重要であると誰もが漠然と理解している“水”は現在の生命科学において「未知なる生命のバッファー」でしかいないことを示唆している.
そこで本研究では、これまで独自に技術構築を進めてきた全反射減衰テラヘルツ時間領域分光を細胞測定用に特化させることで,高精度で細胞内水の物性変化を評価できるようになることを目指す.そしてその新規測定系を用いて,外的影響によって定常状態から変化していく細胞内での水の状態変化を定量評価することで,水分子の生物学的な役割を理解する.
独自に構築した全反射減衰テラヘルツ時間領域分光測定系を用いてin vivoでヘアレスマウス中の水分子ダイナミクスを解析したところ,生細胞中と死細胞中ではバルク水:水和水の存在比率が有意に異なっていることが見出された.これは生体高分子の機能発現に直接関与する水和水と,増大するエントロピーの受け皿としてはたらくバルク水の絶妙なバランスが生命活動を下支えしていることを示唆するものである.また,外的影響として純水と化粧水をマウスに塗布したところ,構成成分中に占めるバルク水割合の少ない化粧水のほうが生細胞・死細胞両方に対してより高いバルク水の供給能力を示すことが明らかになった.

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2020 2019

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 1件) 産業財産権 (2件)

  • [雑誌論文] 3D in vivo imaging of the keratin filament network in the mouse stratum granulosum reveals profilaggrin-dependent regulation of keratin bundling2019

    • 著者名/発表者名
      Usui Keiko、Kadono Nanako、Furuichi Yuki、Shiraga Keiichiro、Saitou Takashi、Kawasaki Hiroshi、Toyooka Kiminori、Tamura Hiroomi、Kubo Akiharu、Amagai Masayuki、Matsui Takeshi
    • 雑誌名

      Journal of Dermatological Science

      巻: 94 ページ: 346~349

    • DOI

      10.1016/j.jdermsci.2019.04.006

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Quantification of starch content in germinating mung bean seedlings by terahertz spectroscopy2019

    • 著者名/発表者名
      Nakajima Shusaku、Shiraga Keiichiro、Suzuki Tetsuhito、Kondo Naoshi、Ogawa Yuichi
    • 雑誌名

      Food Chemistry

      巻: 294 ページ: 203~208

    • DOI

      10.1016/j.foodchem.2019.05.065

    • 査読あり
  • [雑誌論文] テラヘルツ分光法による細胞内水分子ダイナミクスの評価2019

    • 著者名/発表者名
      小川 雄一、白神 慧一郎
    • 雑誌名

      光学

      巻: 48 ページ: 419~424

  • [学会発表] 65GHz帯CMOS近接アレイセンサを用いた水和水の高精度評価2020

    • 著者名/発表者名
      白神 慧一郎
    • 学会等名
      誘電応答から見るソフトマターの水和ダイナミクス
    • 招待講演
  • [学会発表] テラヘルツ分光を用いた細胞内水和状態の評価2019

    • 著者名/発表者名
      白神 慧一郎,小川 雄一
    • 学会等名
      生細胞分光部会シンポジウム
  • [学会発表] Characterization of intracellular water involved in physiological changes of cells2019

    • 著者名/発表者名
      Keiichiro Shiraga
    • 学会等名
      RIKEN Interdisciplinary Exchange Evening in Yokohama
  • [産業財産権] 自由水測定装置、自由水測定方法、及びプログラム2020

    • 発明者名
      白神 慧一郎
    • 権利者名
      国立研究開発法人理化学研究所
    • 産業財産権種類
      特許
    • 産業財産権番号
      特願2020-085630
  • [産業財産権] 自由水測定方法、及び自由水測定装置2019

    • 発明者名
      白神 慧一郎
    • 権利者名
      国立研究開発法人理化学研究所
    • 産業財産権種類
      特許
    • 産業財産権番号
      特願2019-234605

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公開日: 2021-01-27  

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