コヒーシン複合体とそのローダーによる転写制御については不明な点が多いことから、本研究ではローダーのNIPBL遺伝子に変異を有するヒト培養細胞株を用いて、ChIP-seq、RNA-seqとHi-Cによる網羅的な解析を行った。その結果、super-enhancer (SE) 近傍の発生関連遺伝子群の発現が有意に減少しており、SEにおいてコヒーシン及びそのローダーのクロマチン結合が減少していた。さらに、BRD4やメディエーター複合体といった転写コファクターも結合の減少がみられたことから、コヒーシンやそのローダーはこれらの因子と協調して、発生関連遺伝子群の転写活性化に寄与していることが示唆された。
|