研究課題/領域番号 |
18K14677
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
小山 昌子 東京大学, 定量生命科学研究所, 助教 (40755097)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | Oct4 / パイオニア転写因子 / ヌクレオソーム / ヒストン / クロマチン |
研究実績の概要 |
本研究では、細胞初期化に重要なことで知られるパイオニア転写因子Oct4がヌクレオソーム構造中の標的塩基配列に結合する機構を、生化学的・構造生物学的アプローチにより解明することを目的としている。そのために、細胞初期化の際にOct4が集積することで知られるエンハンサー領域のDNAを用いてヌクレオソームを試験管内再構成し、生化学的解析を行った。このDNAにはOct4の標的塩基配列が複数含まれている。それら各々の標的配列に、Oct4が結合しなくなるよう変異を入れて、Oct4との結合能を解析した。その結果、Oct4は複数の標的配列のうちひとつにのみ結合することが分かった。このことから、Oct4はヌクレオソーム中の特定の位置に存在する標的配列にのみ結合できることが示唆された。そこで、Oct4のヌクレオソーム上における結合位置を確かめるために、Oct4-ヌクレオソーム複合体のクロスリンク質量分析を行った。その結果、上述の変異体解析で示唆された結合位置とよく一致する結果を得た。これは、ゲノム上に無数に存在するOct4標的配列のうち、ほんの一部にのみOct4が結合するメカニズムの本質であり、Oct4による遺伝子転写調節機構を理解する上で非常に有益な知見となると考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度の研究により、Oct4は標的配列がヌクレオソーム上の特定の位置に存在する場合に限り、標的配列に結合できることが示唆された。また、クロスリンク質量分析の結果から、Oct4とヒストンの結合に関与する領域を推定することができた。さらに、Oct4-ヌクレオソーム複合体のクライオ電子顕微鏡による単粒子解析を行うための予備実験も進め、本解析を成功させるための指針を得ることができた。これらの実験結果から、Oct4が標的ヌクレオソームに結合する機構を理解するために重要な多くの情報を得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
申請者はこれまでに、Oct4がヒストンH3-H4に直接結合することを見出している。さらに、今回のクロスリンク質量分析の結果から、この結合に関与する領域を、Oct4とヒストンのそれぞれについて大まかに推定することができた。今後、Oct4とヒストンの部分的なコンストラクトを用いて結合実験を行い、Oct4とヒストンの直接結合に関与する領域を同定する。さらに、Oct4-ヌクレオソーム複合体のクライオ電子顕微鏡による単粒子解析を行い、Oct4が標的ヌクレオソームに結合する機構とそれによって誘起されるヌクレオソームの構造変化を明らかにする。
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