研究実績の概要 |
本年度に報告したこれまでの研究成果については、第8回生理研・名大医合同シンポジウム(名古屋大学医学部附属病院)および第41回日本分子生物学会年会(パシフィコ横浜)における、演題名「ミスセンスSNVから表現型の病因性を予測する新規ツールの開発(Development of a novel tool predicting phenotypic pathogenisity using missense SNVs)」のポスター発表がある。なお、本研究の目的は、ミスセンスSNVの病因性予測ツール、エクソン上のSNVのスプライシング効果(ESE/ESS)予測ツールおよびSNVによる偽エクソン(pseudoexon)活性化予測ツールの3つのツール開発を行い、さらにこれらの統合ツールを開発することである。研究実施計画では、本年度中にミスセンスSNVの病因性予測ツールを完成する予定であったが、現在、機械学習のハイパーパラメーターの調整などを行い、より予測精度の高いツールになるよう改良中である。具体的には、予測ツールの評価論文(Grimm et al. Human Mutation. 2015)と同じトレーニングデータおよびテストデータを用い、我々の手法がこの論文で評価されたどのツールよりも精度が高いことを様々な指標(Accuracy, Precision, Recall, Specificity, F1 score, Matthews correlation coefficient(MCC), area under the curve(AUC)など)で証明したいと考えており、現在バイオインフォマティクス系への論文を作成中である。
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今後の研究の推進方策 |
今後の推進方策については、まずは最終段階であるミスセンスSNVの病因性予測ツールを完成させ、同時に論文を作成して投稿する。エクソン上のSNVのスプライシング効果(ESE/ESS)予測ツールについては、既存のデータを用いて作成したものでもそれなりのパフォーマンスを示したが、ヒトがん培養細胞のWGSおよびRNA-seqの受託を行ってデータ量を増すことにより、より精度の高いツールになるようチューニングを行う。SNVによる偽エクソン(pseudoexon)活性化予測ツールについては、NCBI, Ensembl, AceViewなどの既存データを用いてpsueodexon候補を検出する。psueodexon候補に対して、pseudoexon活性化が実際に行われているかどうかを、そのゲノム配列を持つ発現プラスミドを作成して実証実験を行う。
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