研究実績の概要 |
2019年度は、当初の計画通り、相互作用因子抽出手法の既知受容体-ペプチド共結晶構造をを上半期に行い、下半期から変異導入による相互作用因子検証/同定(計画3)に着手した(スライド2)。相互作用因子抽出手法の検証に際して、PD-incorporated SVMの学習データを文献情報から再収集し、これまでの1,352相互作用から、2,465相互作用に増やし、再学習を行った。 その結果、「線形SVMからの予測への寄与度の抽出を予測器内部の数式から抽出する手法」で抽出を行った場合、共結晶構造の解かれているNeurotensin1とrNTR1受容体の相互作用で、ペプチドのC末端のY11, I12, L13と受容体のY3.29, R6.54, W2.67, G3.27, R6.38のペアが相互作用への寄与率が高いペア(相互作用因子)として抽出できた。この抽出ペアのうち、Y3.29, R6.54とL13のペアは共結晶構造で水素結合し、膜貫通領域間を架橋していたことから、本手法で抽出される相互作用因子の正確性を検証することが出来た。 次に、次に本相互作用因子抽出法をSubstance P受容体に適用した。Substance Pは、NK1Rに加えて、分子系統樹解析では遠縁のMRGX2も活性化することが知られるペプチドである。このペプチドが、NK1R, MRGX2をともに活性化する根拠となる相互作用因子を本抽出手法を用いて抽出し、現在、その相互作用因子がSubstance P活性に必要十分であることを示すために、Substance P活性を持たないMRGX1に相互作用因子を獲得するような変異を導入することでSubstance P活性が得られるか検証するための発現ベクターを構築中である。
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