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2019 年度 実績報告書

異種生物の融合進化実験による異種ゲノム融合進化株の創生と解析

研究課題

研究課題/領域番号 18K14688
研究機関国立研究開発法人理化学研究所

研究代表者

前田 智也  国立研究開発法人理化学研究所, 生命機能科学研究センター, 基礎科学特別研究員 (10754252)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2020-03-31
キーワード細胞融合 / 水平伝播 / 進化実験 / プロトプラスト / 異種ゲノム融合 / 細菌
研究実績の概要

自然界では、異種由来のゲノム情報が宿主ゲノムに統合される水平伝播により、有益な機能の獲得が引き起こされている。しかしながら、実験室でこれを再現して異種ゲノム獲得生物を構築することは実現できていない。そこで本研究では、異種生物間でのゲノム水平伝播を取り入れた進化実験により、新たな生物種を創生することを目的とした。
異種生物間でのゲノム水平伝播を生じさせるために、本研究ではプロトプラスト融合法に着目した。これは、細菌の細胞壁をリゾチームにより除去し、高浸透圧条件下で培養することで得られる細胞を、ポリエチレングリコール存在下で混合することで異種細胞同士を融合する方法である。まず様々な細菌種の組合せにおいてプロトプラスト融合を試み、二種類の親株がそれぞれ耐性を示す抗生物質を用いるという選択圧をかけることで、両方の親株の性質を併せ持つ株を複数取得した。しかしながら、変異解析等により異種ゲノム由来の配列は確認されなかったため、異種細菌同士を単純に融合させただけではゲノムの交換は生じないことが示唆された。そこで、異種細菌ゲノムに大腸菌のシングルコピープラスミド配列を挿入することで、大腸菌に異種ゲノムを巨大なシングルコピープラスミドとして複製・維持させることを考えた。コリネ型細菌ゲノムに大腸菌miniFプラスミド由来の配列を挿入し、この組換え株を大腸菌とプロトプラスト融合させて、それぞれの菌が持つ薬剤耐性を指標とした選択圧をかけることで、二種類の薬剤耐性を同時に示す株を取得した。これらの株はコリネ型細菌及び大腸菌の両方のゲノム配列を有していた。これらの結果から、大腸菌に異種細菌ゲノムを一回の融合実験により導入できることが明らかになった。このような技術を有用微生物の育種に応用することで、親株には無い様々な有用形質を発現させることが可能になると期待される。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2020 2019 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件) 備考 (2件)

  • [雑誌論文] High-throughput identification of the sensitivities of an Escherichia coli ΔrecA mutant strain to various chemical compounds2019

    • 著者名/発表者名
      Maeda Tomoya、Horinouchi Takaaki、Sakata Natsue、Sakai Aki、Furusawa Chikara
    • 雑誌名

      The Journal of Antibiotics

      巻: 72 ページ: 566~573

    • DOI

      10.1038/s41429-019-0160-5

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Complete Genome Sequences of Three Star-Shaped Bacteria, Stella humosa, Stella vacuolata, and Stella Species ATCC 351552019

    • 著者名/発表者名
      Shibai Atsushi、Maeda Tomoya、Kawada Masako、Kotani Hazuki、Sakata Natsue、Furusawa Chikara
    • 雑誌名

      Microbiology Resource Announcements

      巻: 8 ページ: e00719-19

    • DOI

      10.1128/MRA.00719-19

    • 査読あり
  • [学会発表] 非病原性結核菌の抗結核剤に対する進化実験2020

    • 著者名/発表者名
      前田智也、古澤力
    • 学会等名
      第14回日本ゲノム微生物学会
  • [学会発表] Identification of mutations conferring resistance to anti-tuberculosis drugs by laboratory evolution of non-pathogenic Mycobacterium on agar plate.2019

    • 著者名/発表者名
      Tomoya Maeda, Chikara Furusawa
    • 学会等名
      ICSB2019 The 20th International Conference on System Biology
    • 国際学会
  • [学会発表] 全自動培養システムを用いた多種ストレス環境下における大腸菌の大規模進化実験2019

    • 著者名/発表者名
      前田智也、岩澤諄一郎、堀之内貴明、阪田奈津江、小谷葉月、川田正子、田邊久美、古澤力
    • 学会等名
      第13回日本ゲノム微生物学会
  • [備考] 理化学研究所多階層生命動態研究チームWebページ

    • URL

      http://mbd.riken.jp/index.html

  • [備考] Researchgate

    • URL

      https://www.researchgate.net/profile/Tomoya_Maeda

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公開日: 2021-01-27  

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