研究課題/領域番号 |
18K14692
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
本間 悠太 東北大学, 生命科学研究科, 助教 (70812642)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | Rab / 小胞輸送 / 分泌 |
研究実績の概要 |
分泌経路は、細胞が可溶性分泌タンパク質や膜タンパク質を細胞外(細胞膜)へと輸送する主要な経路であるが、特にゴルジ体以降について、どのようにカーゴ(積荷)分子の輸送・選別が行われているか不明な点も多い。本研究では、低分子量Gタンパク質であるRab6の、ゴルジ体以降の分泌経路における機能解明を目的とする。 Rab6のノックアウト(KO)細胞と、そこにGFP-Rab6を発現させたレスキュー細胞はすでに樹立済みであり、まずはその表現型を詳細に解析した。最初に、野生型細胞とRab6-KO細胞から分泌された総タンパク質を回収し、質量分析で網羅的・定量的に比較することで、Rab6-KO細胞では可溶性分泌タンパク質全般の分泌が阻害されていることを明らかにした。一方で、細胞表面の膜タンパク質の量には大きな差は見られなかった。シグナル配列を付加したGFPを可溶性分泌タンパク質のモデルカーゴとして用い、分泌量を定量した場合にも、Rab6-KO細胞において顕著な分泌阻害が見られた。一方、このモデルカーゴに膜貫通領域を付加してその輸送速度を定量すると、Rab6-KO細胞において阻害されていたものの、その影響は可溶性タンパク質に比べるとマイルドだった。また、分泌されなかったカーゴは、リソソームへ異所的に運ばれてしまっていた。これらの結果から、Rab6は分泌全般、特に可溶性タンパク質の分泌に重要であると考えられた。 また、Rab6特異的な結合分子(エフェクター)として報告されている、Bicaudal-D1/2、ELKS1/2をノックアウトしたが、Rab6-KO細胞と同じ表現型を示さなかった。従って、分泌経路におけるRab6の機能には、別のエフェクターが関与していると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していたRab6ノックアウト細胞の表現型の解析を行い(上述)、現在までに得られた結果を論文として投稿し、掲載が決定した。以上より、当研究はおおむね順調に進んでいると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
分泌経路におけるRab6の機能をさらに詳細に解析するため、関与するエフェクターの探索を続ける。Bicaudal-D1/2、ELKS1/2以外の既知のエフェクターについてもノックアウト細胞を作成し、Rab6-KO細胞と同じ表現型を示すかどうか調べる。また、GSTプルダウンアッセイによる未知のエフェクターの同定も試みる。 また、可溶性タンパク質を多く含む小胞や膜タンパク質を多く含む小胞が存在するのかどうかを検証するため、これらを生化学的に分離することを試みる。モデルカーゴとして、シグナル配列を付加したGFPに膜貫通配列を融合し、さらに続いてFLAGタグを付加したコンストラクト(小胞の細胞質側にFLAGペプチドが露出する)を作製し、FLAG抗体ビーズを用いた免疫沈降によって膜タンパク質を含む小胞の回収を試みる。この際、一度細胞外に出た後に再び取り込まれた成分を除くために、モデルカーゴの分泌を同調させ、ゴルジ体から出芽するタイムポイントで細胞を破砕することで、モデルカーゴの大部分がポストゴルジ小胞に含まれる状態で小胞を回収する。
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