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2019 年度 実施状況報告書

上皮極性形成システムの包括的理解を目指した網羅的RNAiスクリーニング解析

研究課題

研究課題/領域番号 18K14699
研究機関徳島大学

研究代表者

本田 尚三  徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 助教 (50778206)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワード上皮極性 / 上皮細胞 / RNAi スクリーニング / 免疫蛍光染色 / ZO-1 / エンドサイトーシス / SH3BP4
研究実績の概要

上皮細胞は互いに連結してシートを形成し体表面を覆うことで、生体内と外環境とを隔てる重要な役割を持っている。上皮細胞は生体内の恒常性を維持するために、配向性のある物質の取り込みを行う必要がある。そのため上皮細胞は外に面するアピカル面と内に面するバソラテラル面で機能やタンパク質の局在が異なる極性を有している。よって、この上皮極性は生命に必須であり、その破綻は腫瘍をはじめとする様々な疾患に関与する。
上皮極性の分子機構は、個々の分子の機能解析によって明らかにされてきたが、siRNAなどによる網羅的スクリーニングなどは行われておらず、包括的には理解されていない。その中で、互いに接着しない上皮細胞であるR2/7において上皮極性が維持されること、タイトジャンクション構成因子の一つであるZO-1が細胞膜直下にリングのように局在し、既知極性因子のノックダウンによって形態が変化することを見出した。
そこで、18,152遺伝子をノックダウンしR2/7のZO-1の形態を指標にした独自のスクリーニングを行った。バイオインフォマティクス解析によって遺伝子を絞り込んだところ、アピカル関連候補遺伝子が851、バソラテラル関連候補遺伝子が298となった。そこから、機能やタンパク構造をもとに40遺伝子を選択して、異なるsiRNAを用いたセカンドスクリーニングを行った。その結果、クラスリンエンドサイトーシスに関与するSH3BP4が一つの候補遺伝子として上がった。免疫蛍光染色の結果、SH3BP4はアピカル側に偏在することがわかり、上皮極性に関与している可能性が示唆された。
今後はSH3BP4のKO細胞による機能解析や、BioID解析によるSH3BP4のinteractome解析などを行うことで、エンドサイトーシスが調節する上皮極性形成・維持機構が明らかになる可能性がある。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

独自の上皮極性関連因子のスクリーニングを実行して見いだされた候補遺伝子の中から、40遺伝子について異なる2種のsiRNAを用いて再現性を確認するセカンドスクリーニングを行った。再現のとれた3遺伝子について、タグ付きタンパク質の発現や免疫蛍光染色などによって局在解析を行ったところ、SH3BP4がアピカル面に偏って局在していることがわかった。このように、極性への関連が強く疑われる新規の候補遺伝子を見出しており、研究は概ね順調に進捗している。

今後の研究の推進方策

上皮極性関連候補遺伝子SH3BP4に対して、以下のような生化学解析、細胞生物学的解析、分子生物学的解析を進めていく。1) R2/7細胞において、ビオチン化酵素であるTurboIDを結合したSH3BP4の安定発現株を樹立してInteractome解析を行い、上皮細胞における近傍タンパク質を網羅的に同定する。2)免疫沈降を行い、その結合を確認する。3) CRISPR-Cas9によってSH3BP4ノックアウト細胞を作製する。4)ノックアウト細胞において、免疫蛍光染色で既知極性因子の局在、ウエスタンブロットで発現量を調べる。

次年度使用額が生じた理由

候補遺伝子の相互作用タンパク質同定のためにプロテオーム解析を予定していたが、委託先の事情により解析が翌年度に持ち越されたため次年度使用額が生じた。翌年度分はプロテオーム解析と合わせて、検出された相互作用タンパク質に対する抗体の購入に使用する予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2019

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 上皮極性因子のゲノムワイドRNAiスクリーニングから見出された新規候補遺伝子の解析2019

    • 著者名/発表者名
      本田尚三、名黒功、米村重信
    • 学会等名
      第19回日本蛋白質科学会年会 第71回日本細胞生物学会大会 合同年次大会

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公開日: 2021-01-27  

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