集団細胞運動は、血管形成や上皮性がんの転移において極めて重要である。本研究では、細胞接着装置の構成分子であるαカテニンの張力依存的な構造変化に着目し、集団細胞運動における役割を実験観察と数理モデリング解析などを行なった。 その結果、αカテニンの張力依存的な構造変化が、RhoAの活性を亢進することによりアクチン細胞骨格の重合化を極限させ、細胞間接着における収縮力を調節し、効率的な集団細胞運動に寄与することを明らかにした。また、数理モデリングを通して、偏りのあるαカテニンの張力依存的な構造変が、不均衡な張力分布をもたらし、上皮細胞単層の協調的な遊走を可能にすることを実証した。
|