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2018 年度 実施状況報告書

頬ひげのMerkel細胞の分化を制御する分子機構

研究課題

研究課題/領域番号 18K14710
研究機関千葉大学

研究代表者

石田 研太郎  千葉大学, 大学院医学研究院, 助教 (20707898)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2020-03-31
キーワード頬ひげ / Merkel細胞 / 三叉神経
研究実績の概要

平成30年度の研究は、研究実施計画を一部修正しつつ実施し、以下の成果を得た。
頬ひげのMerkel細胞の分化における上皮-神経相互作用の関与を解析するために、頬ひげ形成前のマウス胎仔の頬の皮膚と三叉神経節を用いた独自の器官共培養技術を開発し、その成果を論文にまとめて出版した(Ishida et al., Development, Growth & Differentiation 60(5), 291-299, 2018)。この技術を用いて頬ひげのMerkel細胞の分化における上皮-神経相互作用の関与を解析したところ、三叉神経節由来の神経線維との相互作用が無くとも、培養によって形成した頬ひげ原基の特定の部位でのMerkel細胞の分化が観察された。このことから、頬ひげにおけるMerkel細胞の分化において、三叉神経からのシグナルは必ずしも必須ではないことが示唆された。一方、正常発生の頬ひげ原基と比較して器官培養した頬ひげ原基では、分化するMerkel細胞の数が減少している傾向が観察された。この現象が、三叉神経との相互作用の欠如によるものか、培養条件の制限によるものかを検証する必要がある。また、出現する位置に関しては正常発生と概ね同等であった。このことは、Merkel細胞が分化する位置は、頬ひげ原基の発生過程において、何らかのメカニズムで自律的に決定していることを示唆していると考えられた。
Merkel細胞の蛍光追跡のための実験手法として計画していたマウス初期胚へのin vivoエレクトロポレーション法を習得した。文献に従い、蛍光タンパク質発現プラスミドベクターをマウス初期胚に注入して電気パルスを当てることにより、高効率で局所的な蛍光タンパク質の強制発現が観察された。この手法を頬の皮膚への遺伝子導入に応用することにより、Merkel細胞のレポーターマウスの作製を試みる予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

頬ひげのMerkel細胞の分化における上皮-神経相互作用の関与を解析に応用する、頬の皮膚と三叉神経節を用いた独自の器官共培養技術を開発し、論文にまとめて出版した。一方、Merkel細胞の蛍光追跡に関しては、基本となる技術を習得したもののMerkel細胞へ応用するまでには至らなかった。

今後の研究の推進方策

今後計画しているMerkel細胞で特異的に発現する遺伝子の同定に関しては、Merkel細胞の蛍光追跡が困難である場合に備えた対策を検討する。具体的には、Merkel細胞が分化する位置は頬ひげ原基の特定の部位に限局しているため、この部位を直接摘出して解析する。
また、Merkel細胞の分化のメカニズムの解析に関しては、独自の器官共培養技術の開発が済んでいることため、上記の遺伝子の同定を行えば問題なく着手可能である。

次年度使用額が生じた理由

研究室の共通物品を使用することにより、今年度は物品費(器具・試薬・実験動物等)を節約できた。差額は次年度の物品購入費用に充て、研究の推進を図る。また、最終年度である次年度は学会発表と論文投稿を行う予定であり、本年度生じた差額をこれらの費用に充てる。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2019 2018

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 3件)

  • [雑誌論文] Involvement of selective epithelial cell death in the formation of feather buds on a bioengineered skin2019

    • 著者名/発表者名
      Ishida Kentaro、Saito Tetsuichiro、Mitsui Toshiyuki
    • 雑誌名

      Development, Growth & Differentiation

      巻: 61 ページ: 141~149

    • DOI

      10.1111/dgd.12593

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Clog and Release, and Reverse Motions of DNA in a Nanopore2019

    • 著者名/発表者名
      Kubota Tomoya、Lloyd Kento、Sakashita Naoto、Minato Seiya、Ishida Kentaro、Mitsui Toshiyuki
    • 雑誌名

      Polymers

      巻: 11 ページ: 84~84

    • DOI

      10.3390/polym11010084

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] In vitro formation of the Merkel cell-neurite complex in embryonic mouse whiskers using organotypic co-cultures2018

    • 著者名/発表者名
      Ishida Kentaro、Saito Tetsuichiro、Mitsui Toshiyuki
    • 雑誌名

      Development, Growth & Differentiation

      巻: 60 ページ: 291~299

    • DOI

      10.1111/dgd.12535

    • 査読あり / オープンアクセス

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公開日: 2019-12-27  

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