研究実績の概要 |
1. Wnt11がコアPCP因子に対してどのような影響を与えるのかを理解することは本研究の根幹である。これまでの知見を総合してコアPCP因子(Pk, Vangl, Fz, Dvlなど)が複合体を形成する際、同じ因子の組み合わせでもトポロジーの違い、すなわち同一細胞上(シス)の複合体と隣接細胞間(トランス)の複合体ではWnt11に対する反応が違うのではないかという仮説を立て、Xenopus胚での割球打ち分け実験で人為的にトポロジーを揃えて、Wnt11に対する応答を検討した。まだ予備的ではあるが、仮説を支持する結果が得られた。
2. コアPCP因子複合体のトポロジーを超解像イメージングなどにより直接解析することができれば、WntがコアPCP因子に及ぼす影響を理解できるのではないかと考え、その為の予備的解析を行った。当初計画していたstimulated emission depletion (STED)法は使用する際に野生型の胚では色素が焦げてしまうため、アルビノ胚に限られるという問題があり、やや使い勝手が悪いことが判明した。そこで別の超解像イメージングの手法として、新たに導入したspinning disc式共焦点顕微鏡を用いてsuper resolution radial fluctuation(SRRF)法を検討した。具体的には細胞膜トレーサーのmembrane-GFPもしくはmembrane-RFPのmRNAをXenopus胚の同一割球、あるいは別割球に顕微注入して、原腸胚、あるいは神経胚まで培養し、ホルマリン固定後SRRF法で観察を行った。その結果、同一細胞で発現させたmembrane-GFPとmembrane-RFPは大部分重なり、画像上でほとんど分離しなかったが隣接細胞で発現させたそれらの膜トレーサーは画像上で分離が認められた。
|