研究実績の概要 |
①ネッタイツメガエルにおける遺伝子X1のゲノム編集F1個体(幼生)の四肢発生・再生を解析した。前年度に遺伝子X2のゲノム編集個体で得られた結果と同様、遺伝子X1のゲノム編集個体(幼生)において四肢再生異常が見られること(N=23, 異常率:39%)、また四肢発生には全く異常が見られないことを確認した。また、遺伝子X1とX2の両方に変異を持つゲノム編集個体を作製しようと試みたが、目的の個体を得ることはできなかった。 ②熱ショック応答により遺伝子X2発現を誘導するTransgenicアフリカツメガエル個体(変態後の幼若個体)について後肢切断を行って再生させ、どの様な軟骨パターンをもつ器官が形成されるかを確認した。その結果、先端が2~3本に分岐した軟骨をもつ器官が再生することを確認した(N=21, 30%)。この結果は前年度に得られたX1を過剰発現させた場合の結果と同様であった。①と②の結果より、X1, X2は重複する機能をもつことが示唆された。 ③遺伝子X1, またはX2を過剰発現させたTg個体の再生部位における形態形成遺伝子発現をリアルタイムPCRによって確認した。その結果、野生型と比べてHoxA13, HoxD13, Shhの発現が有意に上昇していることが明らかになった。一方、Fgf8,10, HoxA11の発現については野生型に比べて有意差が見られなかった。 ④遺伝子X1, X2のゲノム編集個体(幼生)/過剰発現個体(変態後の幼若個体)の四肢再生部位における細胞増殖を解析するため、それぞれの後肢再生領域についてリン酸化ヒストンH3の免疫染色を行った(増殖細胞数の比較はまだ行っていない)。
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今後の研究の推進方策 |
熱ショック応答によって遺伝子X2発現を誘導するTransgenicアフリカツメガエル個体(変態後の幼若個体)を用いて後肢切断を行って再生させ、再生部位で形態形成遺伝子がいつどの部位に発現するかをRNAscopeによって確認する。 遺伝子X1, X2のノックアウト個体(幼生)の四肢再生部位における形態形成遺伝子発現についても同様に発現パターンの解析を行う。 遺伝子X1, X2のゲノム編集個体(幼生)/過剰発現個体(変態後の幼若個体)の四肢再生部位におけるリン酸化ヒストンH3の免疫染色を引き続き行う。野生型に対する増殖細胞数の比較を行う。
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