研究課題/領域番号 |
18K14728
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研究機関 | 立教大学 |
研究代表者 |
前川 修吾 立教大学, 理学部, 助教 (80711209)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 植物病理 / 栄養応答 / シロイヌナズナ |
研究実績の概要 |
本研究は「植物の炭素/窒素バランス(C/N)制御による、病原菌の感染様式に応じた抵抗性獲得機構」という、植物の病害抵抗性における新たな概念を提唱し、その妥当性を検証することを目的としている。この研究は、生きている細胞から栄養を吸収する寄生性病原菌と、死んだ細胞から栄養を吸収する腐敗性病原菌のそれぞれからの感染について、植物側は細胞内のC/Nを制御することで能動的にViabilityを調節して抵抗性を発揮している、と仮説をたて、それを検証していく。 今年度はC/Nが病原菌感染時の細胞の死にやすさに影響を与えるかどうかを検証するために以下の解析を行った。腐敗性病原菌由来の細胞死誘導毒素であるFumonisin B1(FB1)を、C源である糖や窒素(N)栄養の条件を変えた培地で生育させたシロイヌナズナ野生型(Col-0)の葉に処理し、その細胞死の表出の様子を観察した。その結果、FB1による細胞死の表出はC/Nの比が高いほど顕著である傾向がみられた。この結果はC/Nが細胞の死にやすさを制御しているという仮説を裏付けるものである。今後はこれらの結果を電気伝導率などの細胞死関連パラメータについて定量を行う。 また、糖応答と密接な関わりのあるリボソームストレス応答の解析も進めている。リボソーム生合成因子であるOLI2の変異体では糖に過剰応答し、その過剰発現体では糖に若干の耐性を示すことが明らかになった。OLI2過剰発現体が異常な形態となることなどと合わせてPlant Biotechnology誌にて報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナの影響で実験に費やすことのできる時間が大幅に減少したため。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、引き続きFB1による細胞死関連実験を行うとともに、その植物サンプルを用いて、細胞死の定量化、細胞死関連遺伝子の発現解析、MAPカスケードの活性化の程度の検証する。また、恒常的に自発的細胞死が生じてしまう変異体を用いて、生育C/N条件が生育や細胞死に影響を与えるかどうかを検証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナの影響で研究計画が遅れたため。次年度においては、再び予定通りに計画が進まなくなるであろうことを前提に、研究計画を前倒しして使用していく。
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