本課題では、緑藻クラミドモナスの葉緑体において、母親由来の葉緑体DNAが適切に遺伝するメカニズムを明らかにしたいと考えている。今年度は、昨年度末に投稿していた母性遺伝に影響を及ぼす可能性のある葉緑体核様体に局在するタンパク質について、基礎的解析を行いまとめた論文が受理され、発表することができた。 また、研究室で新規に導入された顕微鏡を用いて、クラミドモナスの接合子、および接合胞子の長時間観察が可能な実験系がおおよそ確立されたため、母性遺伝に影響を及ぼす変異体の葉緑体DNAを可視化するために蛍光タンパク質を導入した株を作製して観察を行った。その結果、いくつかの変異体において、少なくとも接合子の段階で起こるとされる片親の葉緑体DNAの分解は正常に起こっている様子を観察することができた。今後の課題として、観察数を増やす必要があるとともに、接合胞子の観察も行いたいと考えている。
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