研究課題/領域番号 |
18K14736
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研究機関 | 甲南大学 |
研究代表者 |
高木 純平 甲南大学, 理工学部, 特任研究助教 (80740331)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | ペルオキシソーム / シロイヌナズナ / 選別輸送 / オルガネラ |
研究実績の概要 |
ペルオキシソームは重要な代謝機能を担うオルガネラで,環境変化に応じて増殖したり分解を受けたりすることが知られている.植物において,ペルオキシソーム内腔タンパク質の輸送機構については明らかになっているものの,ペルオキシソーム膜タンパク質がどのようにしてペルオキシソームへと正しく輸送されるのか,その仕組みについては十分な知見がない.本研究課題では,植物におけるペルオキシソーム膜タンパク質の選別輸送機構を明らかにすることを目指し,研究を進めてきた.ペルオキシソーム膜タンパク質とペルオキシソーム内腔タンパク質を同時に可視化した植物体を作出し,共焦点顕微鏡を用いて観察を行ったところ,ペルオキシソーム膜タンパク質でのみ標識されるペルオキシソーム前駆体様の構造が存在することを見出した.この結果から,植物においては,まずペルオキシソーム膜タンパク質からなるペルオキシソーム前駆体が形成され,次いでペルオキシソーム内腔タンパク質が取り込まれることで,成熟したペルオキシソームが新規に形成される可能性が示唆された.この可能性について検討するために長時間タイムラプス観察系を確立し,現在,ペルオキシソーム前駆体の経時的変化について解析を進めている.また,ペルオキシソームに局在する新規膜タンパク質の探索を行ったところ,2つの新しいペルオキシソーム膜タンパク質を同定した.今後は,ペルオキシソーム前駆体がどのオルガネラから発生するのか,ペルオキシソーム前駆体を構成するペルオキシソーム膜タンパク質について検討を行うとともに,新たに見出した2つの因子についても機能解析や表現型解析を行っていく予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
様々なペルオキシソーム膜タンパク質の可視化系統を作出し,顕微鏡観察を進めたところ,一部のペルオキシソーム膜タンパク質が内腔タンパク質を持たないペルオキシソーム前駆体様の構造に存在することを見出した.この結果から,植物におけるペルオキシソームの新規形成モデルの足掛かりを得ることができた.シロイヌナズナの長時間タイムラプス観察の実験系を確立することもできた.今後は,この実験系を用いてペルオキシソーム前駆体の経時的観察を推進することで,ペルオキシソームの新規形成モデルについてより詳細に明らかにできると期待される.また,タバコの一過的発現系を用いてペルオキシソーム膜に局在する因子を探索したところ,2つの候補因子を得た.これらの因子はこれまでにペルオキシソームとの関連が報告されていないことから,表現型解析や機能解析を進めることでペルオキシソームについて新しい知見を得られる可能性がある.以上のことから,研究はおおむね順調に進展していると考える.
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今後の研究の推進方策 |
ペルオキシソーム膜タンパク質,内腔タンパク質と他のオルガネラを同時に可視化し,長時間タイムラプス観察を進めることで,ペルオキシソーム前駆体がどのオルガネラから,どのように発生するのかについて観察を行う.また,ペルオキシソーム前駆体が内腔タンパク質を取り込み成熟する可能性,ペルオキシソーム前駆体が既存の成熟したペルオキシソームと融合する可能性についても検討していく予定である.新規因子については,変異体を用いて,個体レベルで,オルガネラレベルで表現型に異常が見られるかどうか解析を行う.また,それぞれの因子の動態や相互作用因子の探索も進めていく予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
植物栽培室の環境悪化のために植物が生育不良となり,実験計画の一部に遅れが出たために,次年度使用額が生じた.次年度使用額は,植物栽培室の環境悪化を補い植物を健全に生育させるために,人工気象機の購入に充てる予定である.
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