研究課題/領域番号 |
18K14745
|
研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
安岡 有理 国立研究開発法人理化学研究所, 生命医科学研究センター, 研究員 (70724954)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | 刺胞動物 / 変態 / カルシウム骨格 / 発生 / 進化 |
研究実績の概要 |
ウスエダミドリイシの幼生を沖縄から所属研究機関(横浜)まで輸送し、変態誘導ペプチドを用いて幼生をポリプへと変態させることに成功した。また、カルセインによるカルシウム骨格の染色にも成功した。サンゴポリプのカルシウム骨格重量が測定可能となるまでには変態後1週間以上必要となるため、幼生の段階で輸送し、変態後の実験を所属研究機関で行う技術的基盤が出来上がったことで、今後の研究をより効率的に進めることができるようになった。 沖縄科学技術大学院大学にて、8月に産卵するAcropora sp.1の受精卵を用いた顕微注入実験を行ったが、実験に用いた胚はMO注入胚、無注入胚いずれも正常に発生せず死んでしまった。顕微注入実験を行った部屋とは別の実験室で受精させていた胚は正常に発生していたので、実験環境が発生に影響した可能性が考えられる。おそらく、顕微注入実験を行った部屋の室温が約18度、通常の実験室の室温が約25度だったので、卵割期の温度がAcropora sp.1の発生に重要であると考えられる。これまで5-6月に産卵するミドリイシサンゴの受精卵を用いて顕微注入実験を行っていた際は、このような問題は起きなかったので、産卵期によってミドリイシサンゴ胚発生の温度感受性が異なる可能性が考えられる。今後Acropora sp.1の受精卵を実験に用いる際は温度管理に注意するとともに、温度が発生に与える影響を調べる実験も並行して行うことを検討する。 顕微注入実験と並行して、Acropora sp.1の胚・幼生・ポリプのRNA-seq解析用サンプリングを実施した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2018年5月に所属研究機関を変更したため、5-6月に産卵するミドリイシサンゴの胚を用いた実験を実施できなかった。また、8月のAcropora sp.1受精卵を用いた顕微注入実験も失敗に終わってしまった。しかしながら、実験サンプルの輸送や変態の誘導といった実験環境の整備、Acropora sp.1のトランスクリプトーム解析用サンプルの入手、といった一定の成果は得られた。
|
今後の研究の推進方策 |
6月および8月に沖縄で顕微注入実験を行い、石灰化関連遺伝子の機能解析を行う。顕微注入胚を沖縄から所属研究機関へ輸送し、変態誘導ペプチドでポリプへと変態させたのち、石灰化過程を観察し、各遺伝子の初期石灰化過程における役割を検討する。 6月と8月それぞれで、ミドリイシサンゴ胚発生の温度感受性を検討し、産卵期に応じた実験手法を確立する。 Acropora sp.1のトランスクリプトーム解析を行い、遺伝子情報基盤を作成する。
|