研究課題/領域番号 |
18K14745
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
安岡 有理 国立研究開発法人理化学研究所, 生命医科学研究センター, 研究員 (70724954)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 刺胞動物 / 変態 / バイオミネラリゼーション / 発生 / 進化 / 地球温暖化 / 海洋酸性化 |
研究実績の概要 |
本年度は本研究をほとんど遂行できなかったため、以下に今後の研究の展開に関する計画を記す。 【サンゴ胚への顕微注入実験による遺伝子機能解析】沖縄へ渡航しての実験が困難な状況のため、本研究ではこれ以上はサンゴ胚を用いた遺伝子機能解析実験は行わない。これまで行った水温・pHに対するサンゴ幼生・ポリプの耐性実験結果を論文発表する。 【サンゴPKSの機能解析】石灰化においてポリケチド合成酵素(PKS)が担う機能の進化的保存性を調べるため、サンゴPKS遺伝子の機能を脊椎動物モデル(メダカ)で検討する。メダカのPKS変異体は耳石形成不全の表現型を示すので、サンゴPKS遺伝子の過剰発現によるレスキュー実験を行い、刺胞動物から脊椎動物まで保存された石灰化メカニズムが存在するのかを明らかにする。 【サンゴ変態期におけるRNA-seq解析】ウスエダミドリイシサンゴ(Acropora tenuis)のプラヌラ幼生および変態初期のポリプを用いたRNA-seqデータから、初期ポリプの成長過程において顕著に発現が増減する遺伝子を割り出し、既知の石灰化関連遺伝子のプロファイルと比較することで石灰化関連遺伝子を網羅的に同定する。また、Acropora sp.1のRNA-seqデータからトランスクリプトームアセンブリを行って遺伝子モデルを構築し、A. tenuis同様に石灰化に関わる遺伝子の発現量解析を実施する。産卵時期が異なるAcropora種間での保存性を調べることで、海水温などの環境に対して頑健な石灰化メカニズムの根幹を解明する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナウィルス感染拡大に伴い、今年度も沖縄へ渡航して実験を行うことが困難となったため、顕微注入実験による遺伝子機能解析実験を実施できなかった。 RNA-seqデータ解析やサンゴPKS遺伝子の機能解析も保留状態となっている。
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今後の研究の推進方策 |
顕微注入実験の実施を諦め、既存のデータでの論文発表を行う。 RNA-seqデータの解析を共同研究で進め、初期ポリプの成長過程において顕著に発現が増減する遺伝子を割り出し、既知の石灰化関連遺伝子のプロファイルと比較することで石灰化関連遺伝子の更なる同定を目指す。 また、サンゴPKS遺伝子が脊椎動物PKS遺伝子と機能的互換性があるかどうかをメダカのPKS mutant(耳石形成不全)に対するレスキュー実験で検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルス感染拡大によって、沖縄への移動が必要な実験を実施することができず、研究を予定通り進めることができなかった。今後は出張実験のために組んでいた予算をなくし、データ解析と論文執筆のために研究期間を延長することとした。
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