本研究では社会性昆虫アリを対象として社会的孤立ストレスと寿命の連関解明により、進化的に保存された社会ストレスと健康の関わりを明らかにすることを目指すものである。その結果、消化や酸化ストレス等に関わる遺伝子群が行動変化と相関して発現変動することを見出した。老化における酸化ストレスの上昇については複数の生物種で報告され、また社会的ストレスと消化機能の関わりも他の高次社会性生物においても報告されている。高齢化社会、またコロナ禍にあり社会ストレスと健康の連関解明は重要な研究課題であり、本研究により種を超えて保存された社会環境が個体の健康と寿命に及ぼす影響と仕組みを示唆する成果が得られた。
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