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2018 年度 実施状況報告書

変態抑制因子Kr-h1の転写調節機構から紐解く昆虫の変態進化

研究課題

研究課題/領域番号 18K14770
研究機関国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構

研究代表者

増岡 裕大  国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 生物機能利用研究部門, JSPS 特別研究員 (80816950)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワード変態 / 変態抑制因子Kr-h1 / 蛹化決定因子Br-C
研究実績の概要

本研究計画では変態システムの進化機構を明らかにするため、変態抑制因子Kr-h1と蛹化決定因子Br-Cに注目し、その作用機序 を変態様式の異なる分類群において比較することを目的とする。不完全変態昆虫は蛹を経る変態システムを持たず、Br-CはKr-h1によって発現誘導され翅形成に関わる。一方で完全変態昆虫ではKr-h1はBr-Cの発現を抑制しており、終齢幼虫期に体内JH量の減少に伴いKr-h1の発現レベルが下降するとBr-Cの発現が活性化し蛹化決定に働く。そこでKr-h1によるBr-Cの発現調節機構の変化が変態システムの獲得に重要であったと考えられる。具体的にはKr-h1によるBr-Cの発現調節のon/offに働くコファクターの存在が予想される。そこでまず、不完全変態昆虫においてKr-h1と相互作用する分子の解析からBr-Cの発現を促進するアクチベーターの同定を試みている。初年度である本年度は、まず実験昆虫の飼育環境及び実験系の立ち上げに時間を注力した。まず、不完全変態昆虫のモデル種としてゲノム情報と培養細胞系が利用可能であるチャバネゴキブリ(Blattella germanica)を飼育系の確立し、各発生段階のタイムスケジュールの確認および、発生段階ごとのcDNAライブラリーを作製した。さらに、ゲノム情報からBr-C遺伝子の上流領域を取得し、Kr-h1の結合領域を探索した。またRNAi法による機能解析系も確立した。現在はレポーターアッセイによる結合領域の絞り込みを遂行中である。また、各抽出物を呼びcDNAライブラリーを用いてkr-h1と相互作用する因子の探索も進行中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

計画初年度である30年度は、まず実験に用いるチャバネゴキブリの飼育系の確立等の実験環境の構築に注力した。また、各発生段階のタイムスケジュールを把握し、発生段階ごとにcDNAライブラリーを作製した。本種はゲノム情報を利用可能であるため、Br-Cの上流配列からKr-h1の予想結合配列を探索した。現在はレポーターアッセイにより実際の結合配列の特定作業を遂行中である。さらに、cDNAライブラリー及び各抽出物を用いてKr-h1と相互作用するコファクターの探索も遂行中である。

今後の研究の推進方策

現段階でチャバネゴキブリを用いた実験系の確立はほぼ完了している。今後はKr-h1の結合領域が早晩、特定できる予定であるため、完全変態昆虫であるカイコとの比較解析を行う予定である。また、Y2H法およびpull down法によるKr-h1との相互作用する因子の探索を本格化する予定である。さらに、チャバネゴキブリにおいてRNAi法による遺伝子機能解析系の確立を行い、Br-h1のノックダウン個体を用いたRNA-seq解析にも着手する予定である。

次年度使用額が生じた理由

試薬の予定価格と実際の購入価格に差額があったため次年度使用額が生じた。翌年年度分と合わせて新規試薬購入に使用する。

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公開日: 2019-12-27  

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