研究課題/領域番号 |
18K14776
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研究機関 | 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
山迫 淳介 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 植物防疫研究部門, 主任研究員 (20748959)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 訪花性昆虫 / 甲虫目 / 共進化 / 系統分類 |
研究実績の概要 |
新型コロナウイルスの蔓延の影響により、昨年度までに予定していたサンプリングおよびサンプルの解析が行えなかったため、一年延長して研究を継続した。本年度は、引き続き国内外の研究者と協力して、訪花性カミキリムシの生態情報、遺伝子解析用サンプルおよび遺伝子情報の収集を行った。特に各国の新型コロナウイルスの緩和に伴って、協力研究者の解析が進み始めたことにより、東アジアや新大陸に分布する重要な分類群について、データを一部追加することができた。しかし、これらの解析は大幅に遅れており、本年度中に予定していたサンプリングおよび解析を終了できなかった。 本年度に追加したデータにより、訪花性カミキリムシの大群であり、またカミキリムシの中でも唯一亜科レベルで訪花性を示すハナカミキリ亜科のデータをより充実させることができ、その系統関係を概ね明らかにすることができた。もうひとつの訪花性カミキリムシの大群であるカミキリ亜科については、同様に訪花性カミキリムシを多く含むDorcasominae亜科がカミキリ亜科の基部に含まれることが明らかとなった一方で、本亜科に所属するいくつかの族が本亜科とは異なることも明らかとなり、それらの系統位置およびカミキリ亜科の訪花性の進化を明らかにするためには、南半球のカミキリ亜科およびDorcasominae亜科を中心に広範な分類群の解析が必要となると考えられた。 また、得られた系統情報と各種分類情報を組み合わせ、カミキリムシ科の分類体系を検討したところ、上述のカミキリ亜科のみならず、ハナカミキリ亜科やクロカミキリ亜科の高次分類体系についても大幅な見直しが必要となることが明らかとなった。現在、これらの分類体系の見直しを進め、新たな分類体系の構想を得つつある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
ハナカミキリ亜科の代表的な属・種の遺伝子解析用サンプルを概ね集積できたものの、東アジアや新大陸に分布する一部の極めて重要な分類群が未集積である。本年度に国内外の研究者とともにこれらのサンプルまたは遺伝子データを収集する計画を立てていたが、新型コロナウイルスの影響により、進捗に遅れが生じている。また、カミキリ亜科については、想定以上に広範な分類群が必要となるため、解析分類群の選定や、解析方針の変更も含めて検討する必要であると考えられた。
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今後の研究の推進方策 |
国内外の研究者と協力して、未入手の分類群について引き続きサンプルやデータの収集を試みる。今年度に得られなかったサンプルについては、それらを除外した解析を行い、得られた結果を学会発表や論文として公表する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの蔓延の影響により、予定していたサンプルの解析ができなかったため、次年度使用額が発生した。次年度使用額は、未解析のサンプルの解析に関わる費用、および論文投稿料に充てる予定である。
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