研究課題
長寿命生物の一生における採餌行動の影響や役割を解明するために、比較的短期に作用するコストとなる酸化ストレスの測定と変化を計測した。本研究では、繁殖期の動物の多様な採餌行動の違いが生理的な負荷の違いを生み、生活史戦略の基盤である長期的コストへも影響しているか、採餌戦略の進化に及ぼす影響を明らかにすることを目的としている。複数年にわたり同一個体を捕獲することを目的とした研究であったが、2020年からのCOVID-19の世界的流行により、国内でもヒトの移動が制限され同一個体の捕獲が一時中断されてしまった。2020年度の調査は2021年度に繋がるように、最低限の捕獲による移動情報と採血を行った。テロメア長測定による複数年の変化だけで移動コストを評価するのではなく、酸化ストレス値(酸化度と抗酸化力)の測定によって移動コストを評価した。2021年度のウミネコの移動について、オスは近4年間で採餌旅行に費やす時間や距離に有意差はなかったが、メスでは2019年度のみ長時間かつ遠距離に採餌していた。しかし、酸化ストレス値は、これら移動に関係する変数との相関はなかった。一方で、2020年度に再回収不要のデータ送信機能付きのGPSロガーを装着し繁殖期間の移動軌跡を調査したが、この繁殖期を経て2021年度の繁殖期までの渡り期間(非繁殖期)の詳細な移動軌跡情報を得ることができた。これまで鳥類の渡りは、測位精度の低い機器を使用するか標識調査による目視でしかわからなかったが、GPSによる正確な位置と時間を取得することができた。現在は、移動解析中である。
すべて 2021
すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件)
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