研究課題/領域番号 |
18K14795
|
研究機関 | 岩手医科大学 |
研究代表者 |
小巻 翔平 岩手医科大学, いわて東北メディカル・メガバンク機構, 特命助教 (90789629)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | 両生類 / 生態 / 温度適応 / 温泉 / リュウキュウカジカガエル |
研究実績の概要 |
本研究課題では、鹿児島県十島村口之島のセランマ温泉にて生息・繁殖するリュウキュウカジカガエルを対象とし行動観察や分子実験を行うことで、カエルが温泉に生息するという珍しい現象の理解を目指している。2019年度は2018年度に引き続き、遺伝子発現解析と行動観察を実施した。 遺伝子発現解析では、すでに得られたRNAシークエンスデータの解析から、高温ストレスの有無によって発現変動する転写産物を複数検出した。さらに転写産物のアノテーション、エンリッチメント解析を実施したところ、高温ストレス応答に関連すると考えられるパスウェイに関わる転写産物の発現が変動していることも示された。結果の再現性確認や、異なる温度条件下での発現データを取得するため、新たな検体を用いたRNA抽出も実施した。 また、2019年4月には口之島セランマ温泉にて行動観察を実施した。幼生および成体の出現場所や産卵場所の水温を調査し、2018年度までに得られたデータとあわせて解析を実施することで、彼らが温泉には生息しているものの低水温を好み、高水温を避けることが示された。 さらに2019年11月には鹿児島県霧島市内の野湯で野外調査を行い、両生類の幼生が温水域に生息していることを確認した。 これらの成果の一部はコホート・生体試料支援プラットフォーム若手支援研究成果発表会およびThe 9th World Congress of Herpetologyにて発表した。また行動観察の内容をまとめた論文を執筆し、投稿準備を進めた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
複数の研究者から協力が得られたこと、そして天候に恵まれたことから、野外調査が当初の計画よりも早く進んだ。一方でRNAが十分量抽出できない検体が多かったため、遺伝子発現解析は当初の計画よりやや遅れている。
|
今後の研究の推進方策 |
野外調査の結果を2020年度初めに論文として投稿する。データが得られ次第遺伝子発現解析も進め、論文を投稿する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
RNA抽出に失敗し、予定していたRNAシークエンシングの委託を2020年度に延期したため次年度使用額が生じた。2020年4月現在すでにRNA抽出は完了し、試料を受託業者に送付済みである。
|