研究課題
若手研究
日本産トゲオオハリアリのワーカーに特異的な共生細菌が病原性微生物に対する防衛に寄与することを明らかにした。この効果は、巣内で働く内役ワーカーに比べて巣外で働く外役ワーカーで高かった。また、外役ワーカーに比べて内役ワーカーで複数も免疫関連遺伝子が高発現している事を明らかにした。これらの結果は、外役ワーカーの低い防衛能力が共生細菌によって補われている事を示唆する。
進化生態学
アリやミツバチなどの真社会性昆虫は個体間相互作用を基盤として高度な分業体制を築き、様々な環境に適応している。多くのアリは地中に巣を作り高密度環境下で生活しているため、巣の外から持ち込まれる病原性微生物に対する防衛機構が進化していると考えられている。本研究では、老齢になり免疫能力の下がった外役ワーカーが共生細菌を保持することによって、病原性微生物感染に対して生存力が向上することを明らかにした。これらの結果は、社会性昆虫の免疫機構に新しい視点をもたらすものと考えられる。