研究課題/領域番号 |
18K14801
|
研究機関 | 国立研究開発法人水産研究・教育機構 |
研究代表者 |
長田 穣 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 本部, 任期付研究員 (90750084)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | 生態系機能 / 生物多様性 / 生物間相互作用 / ランダム行列 / ネットワーク理論 / 複雑性と安定性 |
研究実績の概要 |
生態系は多種多様な生物を通して、食料資源の生産、有害物質の分解、大気・水環境の維持、自然災害の緩和など多くの機能を人類に提供している。生態学や環境学の分野では、生態系がもつ機能(生態系機能)を安定的に維持する機構を解明することが最大の研究課題のひとつとなっている。なかでも、この二十年とりわけ多くの関心が払われてきたのが生物多様性と生態系機能の関係性(Biodiversity and Ecosystem Functioning; B-EF)である。しかしながら、これまでの理論研究では競争系や3栄養段階系といった単純な系にのみ限定してB-EF関係性が議論されており、より複雑な生物群集で成り立つB-EF関係性は明らかになっていない。本研究課題では、より広い多様な生態系で成り立つ B-EF 関係性を明らかにするために一般的な生物間相互作用理論に基づくB-EF関係性を明らかにすることを目的とする。初年度は理論を解く際に保存近似を用いていたが、今年度は数理的な工夫を行ったことでB-EF関係性を解析的に解くことに成功した。その結果、生物群集の多様性や複雑性(結合度・相互作用強度)と生態系機能の関係性は、注目する機能におけるサンプリング効果(群集内の種数の増加によって機能を発揮する種が増加する効果)の有無や、群集に含まれる正の相互作用と負の相互作用の割合によって変化することが予測された。また、Mayの複雑性-安定性の理論との興味深い関係性も明らかになった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在は論文化をすすめている状況にある。
|
今後の研究の推進方策 |
理論をまとめ論文を投稿する。新たに導かれた理論結果を実証できるようなデータを検討する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
ワークステーションの購入が必要になったが、もともと請求していた予定額では不足したため年度末に翌年度分を全額前倒ししたことで、請求額と使用額に差が生じてしまった。全額を前倒しした理由は、ワークステーション購入費が決まっていなかったためである。実際には、もともと請求していた予定額よりも多く使用している。
|