研究課題/領域番号 |
18K14803
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
本郷 峻 京都大学, アフリカ地域研究資料センター, 特任研究員 (70797266)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 霊長類 / 食性 / 適応 / 採食 / 社会進化 / 採食技術 / カメラトラップ / カメルーン |
研究実績の概要 |
本研究では、種子食特化を共通の特徴としながら、歯の形態適応が異なり、系統的にも異なる属に位置する2種のマンガベイについて、採食行動と社会行動を同所的に生息する環境で比較することによって、種子食適応が社会生態進化に及ぼす影響について明らかにすることを目的としている。 令和元年4月から7月にかけて昨年度取得したカメラトラップデータの解析を行った。地上と樹上に設置したカメラから、マンガベイ2種の採食行動に加え、社会生態に関するデータも得られた。アジルマンガベイ(Cercocebus agilis)は攪乱された集落周辺の森林をよく利用しているのに対し、ホオジロマンガベイ (Lophocebus albigena)は伐採や農耕などの攪乱が入っていない国立公園域の森林をよく利用していることが分かった。また、アジルマンガベイはほとんどの時間を地上で生活するのに対し、ホオジロマンガベイは地上に降りることはほとんどなく、樹幹近くをもっぱら利用していることがわかった。このデータに関する予備的な結果を、原著論文としてAfrican Studies Monographs誌に発表した。 7月の日本霊長類学会に参加し、参加者と意見交換を行った。 8月より8か月間カメルーンに渡航し、南東部熱帯林にて調査を遂行した。マンガベイ2種の生息場所にカメラトラップを広域に仕掛け、生息地利用・採食行動・社会生態に関するデータを収集した。昨年度の予備的なカメラの設置による経験が功を奏し、種間比較に十分なデータが収集された。令和2年3月にカメラを回収し、帰国した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定していたデータ収集が十全に遂行できたため、昨年度の遅れを取り戻すことができた。ここまでの結果を基に、来年度は予定通りデータ解析と成果の取りまとめに専念することができる。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度となる令和2年度は、これまでの2年間で得たデータの解析を進め、マンガベイ2種間の社会生態の違いに関して日本生態学会などで成果を発表し、論文を執筆する。
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次年度使用額が生じた理由 |
旅費が当初の予定よりも大幅に安く済んだため、次年度使用額が生じた。翌年度分の助成金は、主に、最終年度である翌年度に参加を予定している国際学会の旅費とデータ解析をより迅速に進めるための人件費及び謝金に使用する予定である。
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