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2019 年度 実施状況報告書

ミクログリアによる死細胞の貪食が促進する感覚入力依存的ニューロン再生

研究課題

研究課題/領域番号 18K14823
研究機関名古屋市立大学

研究代表者

澤田 雅人  名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 講師 (20645288)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワード成体脳のニューロン新生 / 嗅球 / 脳室下帯 / ニューロン再生 / ミクログリア
研究実績の概要

嗅覚の一次中枢である嗅球では、成体でもニューロンの細胞死およびそれに続くニューロン再生が生じている。研究代表者らはこれまでに、2光子顕微鏡を用いた嗅球ニューロンのin vivoイメージング法を確立し、ニューロンが死んだ場所で同じ種類のニューロンが再生するという嗅覚入力依存的メカニズムを報告した。さらに、嗅球の血管近傍に存在するミクログリアが、死んだニューロンを貪食することでニューロン再生を促進することを示唆するデータを得た。本研究では、感覚入力依存的なニューロン再生において、ミクログリアによる死細胞の貪食が果たす役割を解明し、その生物学的意義を明らかにすることを目的とする。
R1年度は、まず、ミクログリアによる死細胞の貪食がニューロン再生に果たす役割を明らかにするために、嗅球ミクログリアによる死細胞の貪食を特異的に抑制する実験系を構築し、嗅球ニューロンの再生に与える影響について詳細に解析した。次に、ミクログリアによる死んだニューロンの貪食がニューロン再生を促進するメカニズムについて、責任因子を探索し、その候補群のin vitro およびin vivoにおける発現解析をおこなった。さらに、ミクログリアによる死細胞の貪食が嗅覚機能に与える影響を調べるための嗅覚行動試験を確立した。上記の結果から、嗅球においてミクログリアが死んだニューロンを貪食し、その後のニューロン再生に重要な役割を果たすことが示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

R1年度は、ミクログリアによる死細胞の貪食のニューロン再生における役割を明らかにし、当初予定していた通りに計画を遂行した。また、ミクログリアによる死細胞の貪食がニューロン再生を促進するメカニズムとして、責任因子の候補を同定し、その発現パターンを明らかにした。これらの成果に加えて、次年度(R2年度)に計画している嗅覚行動実験を複数確立し、ミクログリアによる死細胞の貪食抑制の影響を調べることが可能になっている。したがって、R1年度の目的の達成度としては、当初の計画以上に進展していると判断した。

今後の研究の推進方策

R1年度の研究成果をもとに、今後は、成体嗅球のニューロン再生および嗅覚機能におけるミクログリアによる死細胞の貪食の役割を明らかにするための実験を実施する予定である。さらに、ミクログリアによる死細胞の貪食がニューロン再生を促進するメカニズムについて、責任因子の候補の機能解析を実施することでその機序を解明する予定である。これらの実験から、成体脳のニューロン再生において、ミクログリアによる死細胞の貪食の生物学的意義を明らかにする。

次年度使用額が生じた理由

既存の試薬等を活用したため予定していた物品の購入の一部を行わなかった。また、新型コロナウイルスの感染拡大防止に伴う出張停止措置に伴い、予定より出張の機会が少なかった。次年度の物品費および出張費等に充てる予定である。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2019 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件) 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件) 備考 (1件) 産業財産権 (1件)

  • [国際共同研究] バレンシア大学(スペイン)

    • 国名
      スペイン
    • 外国機関名
      バレンシア大学
  • [雑誌論文] Dynamic changes in ultrastructure of the primary cilium in migrating neuroblasts in the postnatal brain.2019

    • 著者名/発表者名
      Matsumoto M, Sawada M, Garcia-Gonzalez D, Herranz-Perez V, Ogino T, Bang Nguyen H, Quynh Thai T, Narita K, Kumamoto N, Ugawa S, Saito Y, Takeda S, Kaneko N, Khodosevich K, Monyer H, Manuel Garcia-Verdugo J, Ohno N, Sawamoto K
    • 雑誌名

      The Journal of Neuroscience

      巻: 39 ページ: 9967-9988

    • DOI

      https://doi.org/10.1523/JNEUROSCI.1503-19.2019

    • 査読あり / 国際共著
  • [学会発表] 基礎研究者が患者として経験した 新生児脳疾患医療から得たもの2019

    • 著者名/発表者名
      澤田雅人
    • 学会等名
      第61回 日本小児神経学会学術集会
    • 招待講演
  • [備考] 澤本和延研究室ホームページ

    • URL

      http://k-sawamoto.com

  • [産業財産権] 脳疾患治療剤およびその利用2019

    • 発明者名
      澤本和延、澤田雅人、五十嵐道弘
    • 権利者名
      澤本和延、澤田雅人、五十嵐道弘
    • 産業財産権種類
      特許
    • 産業財産権番号
      特願2019-231442

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公開日: 2021-01-27  

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