研究課題
若手研究
シナプスの長期増強は、学習や記憶の基盤となるシナプス可塑性の一つである。今回私たちは、特定のシナプスに長期増強を誘起させるために、長期増強の誘起に必要なCaMKIIに注目した。そこで、光応答性タンパク質ドメインであるLOVドメインを用いて光活性化型CaMKIIを新規に開発した。そして、光活性化型CaMKIIを用いていることにより、特定のシナプスに長期増強(体制増加、AMPA受容体の集積、EPSCの増加)を誘起することに世界に先駆けて成功した。
神経科学
本研究で開発に成功した光活性化型CaMKIIは、特定のシナプスに光を用いてLTPを誘起できる初めての光遺伝学ツールである。これにより、これまで不明とされてきた記憶・学習とシナプスの活動レベルの関係が明確になると予想される。また、光活性化型CaMKIIは、特定のシナプスの信号伝達の減少から始まり、シナプスの消失を介して神経ネットワークの崩壊により脳機能障害を誘起するアルツハイマー病や認知症などの神経変性疾患に対する新たな新薬の開発に繋がると期待される。