• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2020 年度 実施状況報告書

遺伝的素因と食環境との相互作用による精神疾患発症の実験的証明

研究課題

研究課題/領域番号 18K14832
研究機関公益財団法人東京都医学総合研究所

研究代表者

平井 志伸  公益財団法人東京都医学総合研究所, 精神行動医学研究分野, 主任研究員 (00625189)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2022-03-31
キーワード血管障害 / 統合失調症 / 双極性障害 / 砂糖 / 思春期 / 環境要因 / PVニューロン / グリア細胞
研究実績の概要

我々は、精神疾患(ここでは統合失調症と双極性障害に言及する)の環境要因として新たに思春期の砂糖摂取過多をマウスモデルを用いて同定した。すなわち、デンプンを主な炭水化物原とするマウスでは遺伝的な脆弱性を背景にしても(Glyoxylase-1発現低下)異常は生じず、加工品や清涼飲料水の摂取過多を念頭においた砂糖の過剰摂取マウスでは、上記の遺伝的な要素が加わると決定的な精神疾患様症状を呈した(組織学的異常(パルブアルブミン陽性ニューロンの染色強度減少)、生理学的異常(脳波のガンマ帯域のパワーのResting時の異常亢進と新規物体認識時のパワー上昇障害、側坐核におけるドーパミンの薬剤応答性過剰放出)、行動学的異常(作業記憶低下、プレパルスインヒビションの低下、過活動等)。
また、このマウスを詳細に解析し、脳毛細血管障害、および血中から脳実質内へのGlucose取り込み障害という新たな表現型を同定した。更に、この血管障害の一般性を検証する為に、統合失調症、双極性障害患者の死後脳を評価したところ、同様の毛細血管障害(フィブリンの蓄積)を見出した。
以上の結果をまとめ論文投稿し現在2nd revision中である。一度目のrevision中に別の精神疾患感受性遺伝子Disc1のヘテロマウスにおいても、思春期における砂糖の摂取過多により、作業記憶、プレパルスインヒビションの低下が表出し、より環境リスク要因としての確度をあげることができた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

論文投稿から無事に2nd Revisionに移行し、Reviewerからの追加実験要求に応える過程で、証明したい内容の確度を上げたり、新しい知見を得ることができた。

今後の研究の推進方策

引き続きRevise実験の推進を行い、論文受理の為に予算を使用する。
具体的には、追加行動実験の為のDisc1変異マウスを入手し、栄養環境負荷を与えた上で、統合失調症、双極性障害のコアとなる所見に対応した行動実験を行う。また、向精神薬などを投与し上記マウスにおけるドパミン量をマイクロダイアリシスを用いて測定する。

次年度使用額が生じた理由

コロナ感染症の流行により、予定していた旅費や学会費用、実験費用が一部使用できなくなり、次年度に繰り越して別の目的で使用することとした為。例えば、追加の行動実験に使用するマウスの維持管理、特殊餌費用。英文校閲費用。マイクロダイアリシス関連消耗品など。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2021 2020

すべて 雑誌論文 (1件) (うちオープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 2件)

  • [雑誌論文] Glucoseロジスティクス低下を伴う新規精神疾患モデルマウスの開発とその関連知見2021

    • 著者名/発表者名
      平井志伸
    • 雑誌名

      神経回路学会誌

      巻: vol. 28 ページ: 93-101

    • オープンアクセス
  • [学会発表] Angiopathy with impaired glucose logistics observed in model mice2020

    • 著者名/発表者名
      平井 志伸
    • 学会等名
      NPBPPP2020合同年会
    • 招待講演
  • [学会発表] グルコースロジスティクス障害を伴う脳毛細血管障害は新たな精神疾患の指標となりうるか2020

    • 著者名/発表者名
      平井 志伸
    • 学会等名
      第63回 日本神経化学大会
    • 招待講演

URL: 

公開日: 2021-12-27  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi