研究課題/領域番号 |
18K14836
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
荻原 利浩 信州大学, 学術研究院医学系(医学部附属病院), 講師 (40419354)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 脳腫瘍 / グリオーマ / ボーリングバイオプシー |
研究実績の概要 |
本研究は、脳腫瘍の確定診断には必要不可欠である生検術において、低侵襲性と診断能力の両立を可能とする全く新しい革新的な手術方法、すなわちボーリングバイオプシー(中ぐり法)を開発し、その新たな生検法の有効性を証明するとともに、ボーリングバイオプシー用ツールの開発、普及を目指したものである。そのためには、ボーリングバイオプシーにて採取した組織の評価、医工連携でのボーリングバイオプシーを安全かつ確実な施行を可能にする専用のツール、すなわちボーリングバイオプシーニードルを開発し、そして、最終的にはボーリングバイオプシーの安全性と有効性をヒトを対象とした臨床試験で証明することが必要である。 これまで、信州大学医学部医倫理委員会の承認を得た上で、独自の方法を用いボーリングバイオプシーツールを作成し、臨床研究を進め、症例数の蓄積と評価を行った結果、少なくともボーリングバイオプシーの概念は、従来の生検術と比較し、非劣性が証明された。令和2年度は、これらの研究成果をもとに、医療機器としてのボーリングバイオプシーニードルの開発のため、信州大学学術研究・産学官連携推進機構の協力のもと、高島産業株式会社、(株)フジタ医科器械との医工連携で、試作品の作成に取り組んだ。幾度となく打ち合わせを行い、医師の立場、研究者の立場、技術者の立場からそれぞれ議論を行い、試作、評価、改良を重ねた。そして、実臨床で使用可能な手術用硬性小物としてのボーリングバイオプシーニードルが完成した。また、ツール作成に際し、いくつかのアイデアを取り入れ、それらの特許出願を行った。しかしながら、令和2年度内に、今回開発したボーリングバイオプシーニードルを用いた臨床研究を開始することができなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
実臨床で使用可能な、手術用硬性小物としてのボーリングバイオプシー用ツールを高島産業との連携で順調に製作がすすみ、現段階で医療機器として完成したが、未だ臨床研究の開始に至っていないため。
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今後の研究の推進方策 |
令和3年度は、医工連携で完成したボーリングバイオプシーニードルの有用性と安全性を前向き臨床研究にて証明するため、新たに倫理委員会申請を行い、臨床研究を開始する予定である。また、これまでの研究成果を国内外の学会や、誌面において成果発表を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度はコロナ禍で出張が制限されたことや特許申請事項もあり、研究成果の発表が少なかったため、次年度使用額が生じた。次年度使用額は臨床研究および成果発表、論文投稿に使用する計画である。
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