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2018 年度 実施状況報告書

GPCRを標的とした新規迷走神経制御機構の探索とその生理機能の解析

研究課題

研究課題/領域番号 18K14845
研究機関東北大学

研究代表者

可野 邦行  東北大学, 薬学研究科, 助教 (50636404)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2020-03-31
キーワードGPCR / 迷走神経 / 生理活性脂質
研究実績の概要

本年度は、以下に示す1、2、3の事項について主に取り組んだ。
1)求心性迷走神経神経節のRNA-sequence解析結果を元に、高い発現が認められたGPCRについて、高感度in situ hybridization系を用いることで、発現細胞の詳細な解析を行なった。その結果、(A)ほぼ全ての迷走神経細胞に発現するGPCR、(B)少数の細胞体に限局して発現するGPCR、(C)神経細胞以外に発現するGPCR、に分類された。この結果を受けて、(A)および(B)のパターンに属するGPCRを以降の解析対象とすることができた。また、その中でも(B)に属するGPCRは特定の臓器を支配する迷走神経を限局的に制御する可能性が示唆された。
2)GPCR特異的作動薬と神経興奮マーカーc-fosの検出系を組み合わせることで、上記候補GPCRの中から、実際に生体内で迷走神経を活性化し得るものを絞り込むことに成功した。結果、生理活性脂質をリガンドとするGPCRを中心に7個のGPCRを選別した。今後、c-fos陽性のタイムコースにおけるそれぞれの迷走神経依存的な薬理作用を網羅的に解析することでこれらのGPCRの機能が明らかとなる可能性がある。
3)リガンド未知のオーファンGPCRであるGPR149については、その機能解析においてKOマウスが必須の研究ツールとなることから、このKOマウスをCRISPR-Cas9システムを用いて作製した。結果、KOマウスを複数ライン確立することに成功した。今後、当マウスの表現型解析を通じてGPR149の迷走神経機能に与える影響を解析可能となった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の予定であった候補GPCRの絞り込みは順調に進展したため。今後の展望を考慮し、申請者らが既に多数の研究ツールを所有している生理活性脂質をリガンドとするGPCRを中心に複数個の候補が得られた。また、予備的データとして、これらのGPCRの作動薬のいくつかで迷走神経依存性が期待される薬理作用が確認されている。さらに、当初の課題であったvivoにおけるオーファンGPCRの解析についても、ゲノム編集技術によって短時間でKOマウスを得ることができたため、次年度余裕をもって表現型解析が可能となっている。一方で、当初計画していた点変異によるオーファンGPCRの恒常活性化およびマウス神経節での発現誘導は難航が予想されたため、一時pendingとした。

今後の研究の推進方策

今後は候補GPCRに対して個体レベルでの機能解析を中心に取り組む。具体的には、まず利用可能な作動薬の薬理作用および昨年度確立したGPR149 KOマウスを用いた表現型解析から機能の推定を行う。特に迷走神経の関与が強く疑われる血圧・心拍数、呼吸機能、耐糖能・摂食、炎症応答を中心に解析する。
先行して進んでいるLPA3受容体については、迷走神経が関与する各種病態モデルを適用し、内在性の機能を検討していく。

次年度使用額が生じた理由

本年度の実験に用いた高感度in situ hybridizationの試薬が既に十分量存在したため、予定より購入量が少なかったため。次年度のin vivoにおける実験において動物が多数必要となるため、こちらの予算に当てる予定である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2018

すべて 学会発表 (3件)

  • [学会発表] 迷走神経を制御する新規GPCRの探索2018

    • 著者名/発表者名
      佐藤悠喜飛、可野邦行、菅野真由、青木淳賢
    • 学会等名
      第40回生体膜と薬物の相互作用シンポジウム
  • [学会発表] 迷走神経におけるGPCRを介した新規受容機構の解析2018

    • 著者名/発表者名
      佐藤悠喜飛、可野邦行、青木淳賢
    • 学会等名
      第17回次世代を担う若手ファーマ・バイオフォーラム2018
  • [学会発表] 求心性迷走神経を活性化する新規GPCRの探索2018

    • 著者名/発表者名
      菅野真由、可野邦行、佐藤悠喜飛、青木淳賢
    • 学会等名
      第57回日本薬学会東北支部会

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公開日: 2019-12-27  

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