研究課題
多発性硬化症 (Multiple Sclerosis: MS)は四肢の麻痺、視覚障害を主徴とする中枢神経系の自己免疫疾患である。中枢神経系の各所に炎症性の病変が形成され、脱髄や軸索変性を来すことで神経症状を呈する。MSは神経症状の再発と寛解を繰り返す特徴があるが、約半数の患者は10年以内に進行性の経過を辿る二次進行性多発性硬化症(Secondary progressive multiple sclerosis: SPMS)に移行する。中枢神経系に常在する免疫系細胞であるミクログリアは、末梢の免疫系細胞と密接に相互作用することで様々な病態形成に関与する。本研究では、SPMSのモデル動物を用いて二次進行期におけるミクログリアの役割とその作用メカニズムを解明する。SPMSモデル動物の二次進行の症状経過、浸潤する免疫系細胞の量やサブタイプを解析し、ミクログリアが二次進行に与える影響を解析した。SPMSモデル動物からミクログリアを除去する薬剤であるPLX3397を投与すると、二次進行が増悪した。さらに、T細胞の活性化増進に伴って炎症が増大していることを見出した。これらの研究結果から、ミクログリアはT細胞の活性化を抑制し、二次進行の増悪化を妨げる働きがあることが明らかとなった。
すべて 2020 2019
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 2件) 図書 (2件)
Neuroscientist
巻: 26 ページ: 74-86
10.1177/1073858419834221.
Glia
巻: 67 ページ: 1694-1704
10.1002/glia.23640.
Biochemical and Biophysical Research Communications
巻: 513 ページ: 841-845
10.1016/j.bbrc.2019.04.076
Neuroscience Research
巻: 139 ページ: 37-41
10.1016/j.neures.2018.07.002.