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2018 年度 実施状況報告書

三座配位型キラルニトロキシルラジカル/銅触媒が成すアルコール不斉空気酸化の新展開

研究課題

研究課題/領域番号 18K14861
研究機関東北大学

研究代表者

笹野 裕介  東北大学, 薬学研究科, 助教 (10636400)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2020-03-31
キーワードアルコール酸化反応 / 酸化的速度論的光学分割 / 空気酸化 / ニトロキシルラジカル / 銅
研究実績の概要

開発した三座配位型キラルAZADO/銅協奏触媒を用いるアルコール不斉空気酸化条件の基質適用性の検討を行った.始めにトランス-2-フェニル-1-シクロヘキサノールを主骨格として,フェニル基のパラ位にニトリル基,無保護のアミノメチル基等を導入した基質を合成し,本反応条件に付した.しかし,反応がほとんど進行しなかった.そこで,主骨格をイソボルネオールに変更し,本反応条件の官能基共存性を精査した.その結果,本反応が無保護の3級アミンや2級アミンを許容することを明らかにした.
多座配位型AZADOの効果をより詳細に検討することを目的に,不斉点を持たない(アキラルな)多座配位型AZADOを合成し,触媒活性を検討した.イミンや2級アミン,3級アミンを有するAZADOの合成は困難であることが明らかになったが,AZADOの1位にオキサゾリン,アミノカルボニル基を有する触媒については合成を完了した.これらの触媒活性について検討を行った結果,ジチアン単位を含むアルコールの酸化において,多座配位型AZADOがAZADOを超える触媒回転数を示すことを明らかにした.
また,AZADO/銅協奏触媒を用いるアルコール空気酸化反応条件の官能基共存性について知見を得る目的で,数種の含硫黄アルコールへの適用性について検討を行った.その結果,本反応条件はメチオニンやシステイン由来のアミノアルコールから対応するアルデヒドへの酸化反応を,中程度の収率ながら進行させることを明らかにした.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

基質適用性の検討に予想よりも時間を要したが,新規触媒を数種合成し,良好な触媒活性が確認されたため.

今後の研究の推進方策

三座配位型キラルAZADO/銅協奏触媒を用いるアルコール不斉空気酸化反応の反応メカニズムを解明するための実験を行うと同時に,DFT計算を用いた解析を行う.また,アキラルな多座配位型AZADOには実現できるがAZADOでは実現困難な反応を探索する.

次年度使用額が生じた理由

試薬が輸入手配となり年度内の納品が間に合わなかったため,次年度に購入することにした.

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2019 2018 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (7件) (うち招待講演 3件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] 2-Azaadamantane N-oxyl (AZADO)/Cu Catalysis Enables Chemoselective Aerobic Oxidation of Alcohols Containing Electron-Rich Divalent Sulfur Functionalities2018

    • 著者名/発表者名
      Sasano Yusuke、Kogure Naoki、Nagasawa Shota、Kasabata Koki、Iwabuchi Yoshiharu
    • 雑誌名

      Organic Letters

      巻: 20 ページ: 6104~6107

    • DOI

      10.1021/acs.orglett.8b02528

    • 査読あり
  • [学会発表] 三座配位型キラルAZADO/ 銅触媒を用いるラセミ第二級アルコールの空気酸化光学分割法の開発 (2): 基質適用性拡張と反応機構解析2019

    • 著者名/発表者名
      〇笹野裕介1、笠畑洸希1、川島恭平2、森 聖治2、岩渕好治1(1東北大院薬、2茨城大院理工)
    • 学会等名
      日本薬学会第139年会
  • [学会発表] キラル多座配位型AZADO/銅触媒を用いるラセミ第二級アルコールの空気酸化速度論的分割法の開発と応用2018

    • 著者名/発表者名
      〇笠畑洸希、笹野裕介、小暮直貴、小山純平、西山智弘、岩渕好治
    • 学会等名
      日本プロセス化学会2018サマーシンポジウム
  • [学会発表] 私の十年余の研究で楽しかったこと~ニトロキシルラジカル触媒を用いる酸化反応開発を中心に~2018

    • 著者名/発表者名
      笹野裕介
    • 学会等名
      東京農工大学講演会
    • 招待講演
  • [学会発表] キラル三座配位型ニトロキシルラジカル/銅触媒を用いるラセミ第2級アルコールの空気酸化光学分割法の開発2018

    • 著者名/発表者名
      (1東北大院薬、2茨城大理)〇笹野裕介1、笠畑洸希1、小暮直貴1、川島恭平2、森聖治2、岩渕好治1
    • 学会等名
      第35回有機合成化学セミナー
  • [学会発表] ニトロキシルラジカルを用いる酸化反応の新展開2018

    • 著者名/発表者名
      笹野裕介
    • 学会等名
      第2回産総研化学研究シンポジウム
    • 招待講演
  • [学会発表] 不斉配位子複合型ニトロキシルラジカル/銅触媒を用いるラセミ第2級アルコールの空気酸化光学分割法の開発2018

    • 著者名/発表者名
      (東北大院薬1,茨城大理2)○笹野 裕介1・笠畑 洸希1・小暮 直貴1・川島 恭平2・森 聖治2・岩渕 好治1
    • 学会等名
      第51回酸化反応討論会
  • [学会発表] ニトロキシルラジカルを用いる酸化反応の新展開2018

    • 著者名/発表者名
      笹野裕介
    • 学会等名
      2018年度 東日本スクリプス会
    • 招待講演
  • [備考] 合成制御化学分野

    • URL

      http://www.pharm.tohoku.ac.jp/~gousei/synthetic/index.html

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公開日: 2019-12-27  

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