一般に光反応は「S0→Sn遷移」という機構のみが考慮されてきており、多くの光反応の教科書には「S0→Tn遷移は進行しない」と明記されている。私は、本研究課題において合成した超原子価ヨウ素化合物が、その「S0→Tn遷移」によって光反応を起こしていることに気づいた。そしてこの偶然の発見は、その分子のみに起こるものではなく、ヨウ素以外にも重い原子を有している分子においても共通に現れる現象であり、これまで「S0→Tn遷移は進行しない」とされてきた光反応の常識を覆すことに成功した。これにより、これまで紫外線が必須であると考えられていた反応も、より低エネルギーで安全な可視光を用いることができるようになる。
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