本研究では、ニッケル触媒を利用する還元的なカルボニルのアリール化反応を検討した、反応はNiCl2(bpy)錯体を用いることによって効率的に進行した。この時の高活性なニッケル中心はジイミン系の配位子、並びにNaIによって電子的に安定化されていると考えられる。この高活性な活性種によって30を越える基質で反応が進行した。その多くは80%を越える収率を収め、エステルやケトン等のカルボニル基や、プロトン源となるヒドロキシル基を含む基質など従来では使用の困難な基質にも適用可能であった。また不斉配位子を用いることでエナンチオ選択的な反応への応用も見出されている。
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