研究課題
若手研究
本研究では,薬物結晶を機械的処理することで起こる球形化現象と薬物の結晶構造ならびに機械的性質の変化との相関関係を検討した.低温領域で処理すると,薬物結晶の粒子表面の結晶構造が破壊されて非晶質状態となった.中温領域では,非晶質体は粘着性を生じるため,処理中に粒子同士が接着して造粒した.高温領域では,非晶質体は機械的応力により変形しやすくなることで,薬物結晶表面が変形して球形化されることを明らかにした.
製剤学
本研究により,溶媒(水や有機溶媒を含む)を使用せず薬物結晶を球形化させるメカニズムを解明した.これらの知見は,溶媒を使用しない医薬品製造法の確立に寄与し,製造工程の短縮化や低コスト化により医薬品の低価格化,ひいては医療費の削減につながる.一方で,今回明らかにした機械的処理による結晶構造の変化は,非常に溶解しやすい非晶質医薬品を造粒・球形化させながら製造できる新たな製剤化技術の確立につながる.