IgE抗体が関与するI型アレルギーのうち、即時型の食物アレルギーはアナフィラキシーショックを誘発する致死性のアレルギー疾患である。乳幼児で見られる卵・牛乳・小麦などの三大食物アレルギーの多くは学童期までに寛解するが、成人で見られるカニ・エビなどの甲殻類や、そばに対する食物アレルギーは生涯に渡って続く。本研究では食物アレルギーの要因となるIgEを産生する骨髄内の形質細胞(プラズマ細胞)に着目し、食物アレルゲン特異的なIgEを産生するプラズマ細胞の機能解析を行った。まずはじめにC57BL/6マウスの骨髄、脾臓、末梢リンパ節内の形質細胞の割合と細胞表面マーカーの解析を行った。形質細胞のマーカーとしてCD138/B220/IgD/CD45/CD168を使用した。フローサイトメトリーの結果、骨髄内に最も多くの形質細胞が存在していることが明らかとなった。またcutaneous lymphoid antigen (CLA)と呼ばれる糖鎖であるシアリルルイスXに対する抗糖鎖モノクローナル抗体F2がこれらの形質細胞に強陽性だったことから、シアリルルイスXが接着分子として機能し、骨髄内の形質細胞に何らかの影響を与えていると推察された。
|