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2019 年度 実施状況報告書

好中球細胞外トラップのDNAメチル化制御機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 18K14909
研究機関鈴鹿医療科学大学

研究代表者

安田 浩之  鈴鹿医療科学大学, 薬学部, 助手 (40780284)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワード好中球細胞外トラップ / DNAメチル化
研究実績の概要

本研究では、好中球細胞外トラップ(NETosis)の誘導メカニズムを明らかにするために、DNAメチル化制御に着目して検討を進めている。研究代表者は、DNAメチル化転移酵素(DNMT)の阻害剤である5-azacytidine(Aza)を用いて、好中球様細胞に分化させた骨髄性白血病細胞でのNETosis誘導変化について検討しており、前年度までにAzaはアルギニンをシトルリンに変換する酵素であるpeptidylarginine deiminase 4(PAD4)発現を亢進させ、NETosis誘導を亢進させているということを明らかにした。また、ELISAによって細胞内のDNAメチル化状態や、NETosisによって細胞外に放出されたDNAのメチル化状態を検討したところ、細胞内のゲノムDNAはほとんどメチル化しておらず、細胞外に放出されるDNAは全くメチル化していないことがわかった。さらに、好中球への分化によってDNAメチル化が亢進する傾向にあることがわかった。しかし、DNMT1の発現は分化によって有意に減少したことから、好中球分化によるDNAメチル化亢進とDNMT1発現減少は相関していないことがわかった。そこで、DNA脱メチル化機構の一つであるten-eleven translocation(TET)の発現とTETに媒介される中間生成物として5-hydroxymethyl cytosine(5hmC)の存在を確認したところ、分化によってTET1の発現が有意に減少し、5hmCも確認できたことから、好中球分化によるDNAメチル化亢進はTET1などによって誘導され、PAD4発現はDNMT1によるDNAメチル化制御よって調節されていることが示唆された。これらの結果によって、好中球分化によるDNAメチル化状態の変化は、その後に起こるNETosis誘導に影響を与える可能性があることを示せた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

DNMTを阻害するAzaだけではなく、TETを阻害すると言われているαヒドロキシグルタル酸(αHG)を用いて検討を行った。TETはTET1、TET2、TET3が存在するが、好中球分化によってTET1とTET3の発現が減少し、TET2の発現が亢進した。好中球様細胞にαHG を添加したところ5hmC量は減少したが、NETosisやPAD4の発現に影響がなかった。このことから、好中球分化にはTET1などの影響があると考えられるが、NETosisへはDNA脱メチル機構は関与しない可能性があることが示唆された。DNAメチル化制御に関与するDNMTとDNA脱メチル化制御に関与するTETという二方向からNETosisの誘導メカニズムを明らかにすることができた。

今後の研究の推進方策

DNA脱メチル化によってNETosisが誘導され、PAD4の発現が亢進することがわかった。今後は、よりPAD4の影響がAza誘導性NETosisに関与するかどうかを明らかにするため、PAD4の阻害剤を用いて検討する。また、Aza誘導性NETosis NOX由来ROSの影響がないことはわかったが、NOX非依存的NETosisはミトコンドリアROSの影響を受けることが知られているため、mito-TEMPOなどのミトコンドリアROS阻害剤を用いてその影響を確認する。

次年度使用額が生じた理由

研究成果に関する費用が予算額より下回ったため、次年度使用額が生じた。その費用を次年度の研究発表費用に充てる予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2020 2019

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] 好中球のDNAメチル化とNETosisの関与2020

    • 著者名/発表者名
      安田 浩之、瀧下 裕、森田 明広、堤 智斉、佐藤 英介
    • 学会等名
      日本薬学会第140年会
  • [学会発表] 好中球のDNA脱メチル化はNETosis誘導を亢進させる2019

    • 著者名/発表者名
      安田 浩之、瀧下 裕、森田 明広、堤 智斉、佐藤 英介
    • 学会等名
      第72回日本酸化ストレス学会学術集会

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公開日: 2021-01-27  

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