研究課題/領域番号 |
18K14911
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研究機関 | 国立医薬品食品衛生研究所 |
研究代表者 |
曽我 慶介 国立医薬品食品衛生研究所, 生化学部, 主任研究官 (50746336)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | オルガノイド / マウス腸管 / フローサイトメトリー / RANKL / M細胞 |
研究実績の概要 |
近年、食品および医薬品の安全性評価の際に、動物実験代替法またはヒトでの評価法として、幹細胞より分化誘導した器官を用いた試験法が開発されつつある。しかし、幹細胞の株の種類、維持手法、および分化誘導方法の違いによる樹立細胞および器官について、トランスクリプトームやプロテオームなどの分子生物学に関する基礎的知見が少ない。本研究では、腸組織を標的とし、in vitroで汎用される標準的な幹細胞各株とそれを用いて分化誘導する内胚葉、腸細胞そしてそのオルガノイドの遺伝子とタンパク質発現プロファイリングを行い、その発現の変動等を解析することで、実際のヒトの器官を模する技術の基礎的データを収集することを目的とする。 昨年度まではマウスiPSおよびES細胞等で検証を行ってきたが、最適条件の検討が困難であったことから、本年度はマウスの腸管由来のオルガノイドを用いて検討を行った。食物抗原摂取からアレルギー発症の分子メカニズムがよくわかっていない背景から、その解明に特化した評価系を検討する。腸管パイエル板に存在するM細胞は腸内の細菌や消化食物の取り込みなどを介して腸内環境を監視していると考えられるが、腸組織での細胞数が少ないことから解析が十分に進んでいない。そこで、M細胞の分化誘導条件の検討およびその解析を目指した。腸管由来細胞をマトリゲルで三次元培養を行い、RANKLを作用させる分化誘導方法等を検討し、フローサイトメトリーにより分化条件の評価を行ったが、in vitroにおいてM細胞誘導が確認できなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
緊急事態宣言等の影響で、長期の培養期間を要するM細胞分化誘導実験が十分に実施できなかったことから大幅に進捗が遅れている。オルガノイドの分化方法や細胞回収方法を見直して、M細胞誘導の確認から行う。
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今後の研究の推進方策 |
前年度に実施していたM細胞の分化条件の検討を引き続き行う。遺伝子解析等によりM細胞の効率的な分化誘導条件を確立できたら、セルソーターを用いた細胞の分取を行い、M細胞を用いた抗原取り込みの解析等の実験を計画している。
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次年度使用額が生じた理由 |
緊急事態宣言等影響で本年度で十分にできなかった実験を実施するために、次年度に繰り越して使用する。
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