研究課題/領域番号 |
18K14932
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
安藤 広和 金沢大学, 薬学系, 助教 (00768731)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | マオウ / 育種 / 栽培 / エフェドリン |
研究実績の概要 |
本研究課題はマオウ属植物の分子育種に応用可能な指標遺伝子の開発を目的としている.研究計画に従って,まず実験植物の評価を行った.アルカロイド非生産型として育種したE. sinicaとE. chilensis との雑種であるE. sinica×chilensisについてアルカロイドの分析を行った結果,全ての個体でアルカロイドは検出されなかった.また,E. sinica×chilensisにE. sinicaを交配したE. sinica×chilensis×sinicaについて交配の有無を確認するため,DNAを抽出しITS領域,trn L/F領域を解析することによって交配の事実を証明した.以上から,交雑法によって作製したE. sinica×chilensis,さらに戻し交配を行ったE. sinica×chilensis×sinicaの評価を行った. 次に,分子育種に応用可能な指標遺伝子の探索を行った.実験植物としてこれまでに育種したE. sinica,E. chilensis,E. sinica×chilensisなどのアルカロイド含量,組成の異なる個体を用いて,GRAS-Di(Genotyping by Random Amplicon Sequencing-Direct)の検討を行った.マオウ属植物はこれまでに応用例がなかったが,予備試験として十分な結果が得られた.また,生薬「麻黄」の原植物として主に使用されるE. sinicaの簡易鑑別法の開発を行った.本鑑別法はMultiplex PCRを用いてE. sinicaと同属植物及びそれらの雑種を鑑別することが可能である.マオウ属植物の交雑は自然界でも起こっているが,特に薬用植物園などでは容易に交雑することが予想される.そのため,DNAを用いた本鑑別法はマオウ栽培において純系統を維持する重要な技術であると考えられる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度はマオウ栽培における原植物の管理に応用可能なE. sinicaの簡易鑑別法を開発した.GRAS-Di解析は今後解析を進めていく上で十分な結果が得られたものの,さらなる検討が必要であり指標遺伝子の探索では若干の遅れがあると考えられる.これまでに育種した植物のDNA解析,含有成分,生産性など優良株の指標となる調査が概ね完了し,様々な特徴を持った実験植物の育種に成功したことなどを考慮すると,概ね順調に進展していると判断した.
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今後の研究の推進方策 |
これまでに育種した植物について,次世代シーケンサーによって得られたデータの蓄積を進め,塩基配列情報と含有成分,生産性などの関連性について精査し,指標遺伝子の開発を実施する.
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