最終年度は,ペランパネル・ラコサミドの両薬剤についてにPK-PD-PGxに基づいた個別化療法の確立を目的に以下の研究を遂行した。ペランパネルは新規測定方法ならびに薬物代謝酵素遺伝子多型の影響を中心に論文にまとめた(J Chromatogr Sci. 2020;58:915-921)。併せて,本年度はペランパネル血中濃度と薬物輸送トランスポータ遺伝子多型との関連について検討を行ったが,影響は認められなかった。 また,ラコサミドについても同様に解析を実施した。研究実施計画に基づき,高速液体クロマトグラフィー法を用いて開発した新規ラコサミド血中濃度測定法を使用し,血中濃度測定を実施した。本測定法にて得られた定常状態時のトラフ血中濃度とラコサミドの投与量との間に正の相関が認められたが,同一投与量での変動係数は大きく,個体間変動が大きい薬剤であることが示された。 そこで,これら血中濃度のばらつきの要因を明らかにすべく,ラコサミド血中濃度に影響を与える因子について検討を実施した。投与量で補正したトラフ血中濃度と年齢,体重,臨床検査値などについて単変量解析を実施したが,個体間変動の要因となる因子は観察されなかった。ペランパネルと同様に薬物代謝酵素・薬物輸送トランスポータ遺伝子多型の及ぼす影響についても解析を実施したが,有意差は認められなかった。ラコサミドについても論文投稿に向けて現在準備中である。
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