研究課題
若手研究
クレアチニンやシスタチンCに代わる薬物療法上有用な腎機能指標の候補として尿中L-FABP値の臨床応用の可能性について検討した。本研究から、薬物投与前のL-FABPが高値の症例においてVCMによる腎障害を引き起こしやすく、一方L-FABPが高値でもTEICによる腎障害は引き起こしにくい可能性が示唆された。VCM投与例において血清クレアチニンの変動無くC/Dが上昇した例があり、投与前のL-FABP値は血清クレアチニン値の変動では検出できない腎障害を予測できる可能性が示唆された。
医療薬学
L-FABPは「尿細管機能障害を伴う腎疾患診断の補助」的な観点からの保険適応しかなく、バンコマイシンなどの腎排泄型薬物や腎障害を副作用に持つ薬物の副作用モニタリングおよび投与設計への尿中L-FABPの応用に関する検討は現在までなされていない。本研究により従来の腎機能指標であるクレアチニン値やシスタチンC値よりも早期に腎障害を予測できる可能性を見いだせた点で今後は薬物療法の安全性向上に応用が期待できる。