本研究課題は,臨床現場で課題となっている光安定性に課題を有する医薬品における光照射による副作用発現の戦略的回避を目指したものである.すなわち,ダカルバジン (DTIC) の光分解による血管痛発現の事象に基づき,DTIC の光分解機構を解明し,その機序に基づいた新規製剤設計の開発に挑戦した.本研究では,DTIC の光分解に活性酸素種が一部関与している可能性を見出し,その光化学的特性に基づいたラジカルスカベンジャーを添加することにより,DTIC の光安定化に成功した.本成果は,臨床現場で生じている光照射での医薬品による副作用発現回避をもたらし,より安心・安全な医療の提供に寄与するものあろう.
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