研究課題
小児・新生児における薬物動態/薬力学(PK/PD)は、形態的な成熟過程を示す成長と機能的な成熟過程を示す発達が関与しているが、成長・発達過程を考慮した薬用量は多くの薬剤で定められていない。また、小児・新生児における抗メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)薬の投与設計は標準化されておらず、各施設で投与設計に難渋しているのが現状である。本研究では、小児・新生児において頻用されている抗MRSA薬(バンコマイシン、テイコプラニン)に着目し、成長・発達過程を考慮した個別化投与法を確立することを目的として検討を進めた。2021年度は、日常診療で得られた小児患者86例(2-17歳)のテイコプラニン血中濃度実測値を用いて、これまでに構築した投与ノモグラムの有用性を評価した。母集団薬物動態モデルより患者個別のPKパラメータを推定し、年齢および腎機能別に設定した推奨負荷投与量における予測トラフ値(投与4日目)を算出した。全患者における目標血中濃度域(15-30μg/mL)予測達成率は62%(53/86)であり、特に推定糸球体濾過量(eGFR)150 mL/min/1.73m2未満群における予測達成率は75%(41/55)と高値を示した。一方、eGFR 150 mL/min/1.73m2以上群における予測達成率は39%(12/31)と低値であり、同患者群ではさらなる高用量負荷投与が必要である可能性が示唆された。
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